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無理を押してでも成し遂げなければならないことがある

 

昨日(6/18)、近所のオヤジソフトボールチームの練習中、ふくらはぎが肉離れを起こす怪我をしてしまいました(>_<)

 

途中まで参加してその後ラン友さん数名で走る予定で、軽めに終わるからと言うことでストレッチとアップを手抜いたことが原因です。やっぱり、ちゃんとやらないとイケませんね~!

 

で、普通ならその後のランはキャンセルすべきでしたが、昨日は何がなんでも走らなければならなかったので、無理を承知で走ってきました❗

 

ふくらはぎって、走る時には最も重要な部位の1つなので、肉離れを起こした状態では勿論まともに走れません(>_<)

痛い場所を庇いながら、片足を引き摺るようにしながら、何とか20 km走りきれました。

大分ゆっくりしか走れなかったので、ご一緒した皆さん、お待たせしちゃって申し訳ありませんでした(((^_^;)

 

肉離れした状態で20 km走るなんてバカじゃないの?

 

って言われそうですが、人には損得勘定抜きで、無理を押してでも成し遂げなければならないことが時としてあります。仕事であっても、仕事とは全然関係ないことであっても。

また、無理が何か期待した結果を伴わないとしても(^^)d

 

今日は、勿論まともに歩けません。朝一で整形外科にいったら、治るまでランニング禁止ですって(((^_^;)

まあ、当然ですけど…

 

早く走れるようになりたいなぁ~(о´∀`о)

 

IMG_20170619_134302_045

 

写真は、ランニング途中に寄った、東村山市北山公園の菖蒲。綺麗でした~(о´∀`о)

 

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2017年5月の月間走距離

2017年5月の月間走距離は、約200 kmでした。

ラン_201705

 

6日にラン友さん達数名と一緒に塩山~奥多摩60 km走、その翌日に東村山トライアスロン連合のラン練習で多摩湖周辺30 km走をこなし、21日の野辺山100 kmウルトラマラソンに備えました。

野辺山では残念ながら完走することは出来ませんでした。その記事はまた今度書いてみようと思います。

 

一昨年&その前年に野辺山を完走した時の練習と比べると、2週間前にロング走を終えるところまでは一緒ですが、その後に今年は休み過ぎたかなぁという気がしています。

直前2週間で15 km位しか走っていません。疲労抜きには軽いジョグなどを少しやった方が良いので、調整が不十分だったように思います。

 

来年に向けた課題にします。

 

 

 

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質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:CI編

質量分析計による測定の基本は、第一に化合物に適したイオン化を選択することです。もちろん、全てのイオン化が可能な質量分析計を所有しているケースは少ないので、選択すると言っても限界があるのが実態だと思います。それでも、イオン化の特徴と使用する際の注意点はしっかりと理解しておく必要があると思います。

 

前回は、電子イオン化(electron ionization, EI)について解説しましたGC/MSで標準的に使われるイオン化ですから、GC/MSと言えば先ずはEI! とりあえずそれ以外の選択肢はありませんが、問題はマススペクトルの解釈です。GC/MSでは注入口での、直接導入法では加熱気化段階での、試料分子の熱分解の可能性を考慮する必要があります。また、熱分解することなく気化したとして、イオン化の際に分子イオン(M+)が生成せず、フラグメントイオンのみが生成する可能性があることを常に考える必要があります。

 

試料分子が熱分解せずに気化したとして、EIでのイオン化過程においてフラグメントイオンのみが生成している可能性を否定できず、分子質量を知る必要がある場合、EIの代わりに化学イオン化(chemical ionization, CI)を使うのが有効です。

 

CIは、イソブタンやメタン、アンモニアなどの気体(試薬ガス)をEIでイオン化して、生成したイオン(反応イオン)と気体状の試料分子とのプロトン移動によって試料分子をイオン化させる方法です。代表的なイオン化過程は以下です。

 CI反応

 

下図にCIに用いるイオン源のイメージを示します。電子線が照射されているイオン化室に試薬ガスを充満させ、そこに気化した試料分子を導入します。試薬ガスは、試料分子より大過剰に存在するために、電子線が直接試料分子に照射される確率は極めて低く、試料分子がEIでイオン化されることはありません。従って、主として前述のような反応により、試料分子はプロトン付加分子([M+H]+)となります。プロトン付加分子は偶数電子イオンであるため安定で、フラグメンテーションは殆ど起こりません。

CIソース

 

また、CIを用いる以外にも、EIのイオン化電圧を変化させることも有効です。EIで用いる電子線のエネルギーは通常70 eVですが、それを下げることによってフラグメンテーションを抑制できる可能性があります。70 eVでは観測されなかった分子イオンが、イオン化電圧を下げることによって観測されてくることがあります。しかし、イオン化電圧を下げることによって生成するイオン量は減少するので、イオン量とマススペクトルのパターンを勘案しながら、イオン化電圧を調整する必要があります。

 

EIの解説で述べたように、未知試料をGC/MSや直接導入+EIで測定する場合、得られたマススペクトルをライブラリーサーチで検索するのは常套手段ですが、類似度の高いマススペクトルがヒットしても、その結果から化合物を同定するのはリスクが大きすぎます。

 

必要に応じて、EIのイオン化電圧を下げる、CIに変更する、可能であればその他のイオン化を試してみる、などの工夫が重要です。

 

さらに、CIはGC/MSによる定量分析においても有利な場合があります。標準的に用いられる70 eVのEIでは、多くの有機化合物が複数のフラグメントイオンを生成します。前述したように、中には分子イオンが全く観測されずフラグメントイオンのみが観測されることも珍しくありません。分子イオン、複数のフラグメントイオン、1種類の分子から複数のイオンが生成するということは、個々のイオン量が少なくなることを意味します。CIでプロトン化分子のみが生成する場合、1つのイオンに集約されますので、”分子⇒ある1つイオン”への変換効率はEIよりも高くなります。EIとCIにおけるイオンの絶対量を比較することは簡単ではありませんが、1種類のイオンのみが生成することが有利に働くケースは、試料の状況によってはあると思います。

             

 

 

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第65回質量分析総合討論会に参加して:イオン化温故知新、ESIとFABの比較-1

5/1719の3日間、つくば国際会議場において、65回質量分析総合討論会が開催され、参加してきました。参加者総数は600名を超え、大変盛況でした。

メタボロミクスのセッションが幾つかあったのですが、その中の1つ“メタボロミクス温故知新”でイオン化の話をしてきました。

 

セッションオーガナイザーの一人である大阪大学の松田史生先生と、昨年秋に開催されたLC/MSワークショップでお会いした時、FABfast atom bombardment, 高速原子衝撃法)というイオン化の話になり、私が日本電子で働いていた時にFABおよびFABを利用したLC-MSインターフェース(Frit-FAB)を頻繁に使っていたことを伝えたところ、このセッションでFABの話をして欲しいと依頼され快く引き受けました。セッションでは、ESIとFABを比較しながら、マトリックス効果特にイオン化抑制について話しました。

 

今回は、その時話した内容の中かなら、“ESIでイオン化抑制が何故起こるのか”について解説したいと思います。因みに、この内容の多くは、山梨大学の平岡先生から教えて頂いたことです。

 

メタボロミクスに限らず、現在LC/MSは多くの分野で利用されていますが、そのイオン化は90%以上ESIelectrospray ionization, エレクトロスプレーイオン化)が使われています。しかし、生体試料を測定するメタボロミクスなどの研究分野においては、夾雑成分の共存によって分析種のイオン化が抑制(あるいは促進)される“マトリックス効果”という現象が頻繁に起こり、問題になっています。イオン化抑制の原因になる物質には様々なものがありますが、中でも血漿試料に含まれるリン脂質や試料調製過程でコンタミしてしまう(と考えられる)ポリエチレングリコールなど界面活性作用をもつ物質は、マトリックス効果を示す代表例です。

 

ESIでは、図1に示すように、キャピラリー先端部の液体の塊から、静電的な引力によってイオンが液滴として引きちぎられることによって帯電液滴となり、脱溶媒⇒液滴の分裂⇒イオンエバポレーションを経て、気相イオンが生成します。

 エレクトロスプレー

図1 ESIにおけるイオン生成の様子

 

 

この時、帯電液滴の電荷密度と液滴の大きさはキャピラリー先端の内径、液体の流量、および液滴の生成を補助する外力(ネブライザーガス)の有無に依存します。即ち、キャピラリー先端の内径が小さく、液体の流量が少なく、ネブライザーガスを使わない条件では電荷密度の高い小さな液滴が生成し、キャピラリー先端の内径が大きく、液体の流量が多く、ネブライザーガスを使う条件では電荷密度の低い大きな液滴が生成します。マトリックス効果は、帯電液滴の電荷密度が低い程受けやすく、それはエネルギー供給が絶たれた状態の帯電液滴から、時間をかけて脱溶媒⇒液滴の分裂⇒イオンエバポレーションという過程を経ることに主な原因があると考えられます。界面活性作用をもつ物質(界面活性剤)によるイオン化抑制のイメージを図2に示します。

イオンエバポレーション

図2 界面活性剤によるイオン化抑制のイメージ

 

 

界面活性剤は、気液界面すなわち液滴の表面に集まりやすい性質があり、イオン化効率(プロトン親和力)も高いことが多いため、液滴表面から優先的にイオンエバポレーションして気相イオンになります。界面活性剤が優先的にイオンエバポレーションすることで、帯電液滴中の電荷密度は減少します。この時、元々の液滴電荷密度が十分に高く液滴が小さければ、界面活性剤が先にイオン化して液滴の電荷密度が減少しても、液滴の更なる脱溶媒によって電荷密度は高まるので、分析種もイオンエバポレーションすることができます。しかし、元々の液滴電荷密度が低く液滴が大きい場合、界面活性剤がイオン化することで液滴内の過剰電荷が著しく減少し電荷密度が小さくなりすぎてしまい、更なる脱溶媒⇒液滴分裂⇒イオンエバポレーションの過程が進行するのに時間がかかるため、液滴内に残った分析種がイオンエバポレーションされない(MSに取り込まれない)ことになります。

 

一般的に用いられているESイオン源のイメージを図3に示します。図3に示すようなESイオン源では、通常LC移動相は200400 µL/minで用いられます。図1に示すような、静電的な引力のみで帯電液滴が生成する液体導入量は<数 µL/minであり、それ以上の流量では液滴生成を補助するためにネブライザーガス(図3中のN2)が用いられます。ガスの圧力で無理やり液滴を作るために、帯電液滴の電荷密度は静電的な引力のみで作られた液滴に比べると、当然小さくなります。また、数百 µL/minという高流速に対応するため、キャピラリー先端の内径は低流速で用いるESIよりも大きくせざるをえません。このような一般的なESイオン源では、前述したような理由でイオン化抑制が起きやすくなります。

ESIソース

図3 一般的なESイオン源のイメージ

 

内径の細い(数 µm)キャピラリーを用い、nL/minオーダーの液体導入量で用いるESIは、ナノESIと呼ばれます。ナノESIの応用例として、細胞にナノESIチップを突き刺してサンプリングし、溶媒で希釈するだけで直接マススペクトルを測定する、一細胞質量分析が知られています。細胞から直接サンプリングするため、試料溶液には大量の塩が含まれます。塩もイオン化抑制を示す物質の代表例の1つですが、大量の塩が含まれていても代謝物などの含有成分由来のイオンが観測されるのは、ナノESIで生成する帯電液滴がイオン化抑制を起こし難い環境であるからにほかなりません。ただし、ナノESIを用いればイオン化抑制を完全に防げるという訳ではありません。

 

 

次回は、“エネルギー供給が絶たれた状態の帯電液滴”を経ることがイオン化抑制の原因になるという事について、他の事例を挙げて考えてみたいと思います。

 

 

LC/MSに関するインハウスセミナーへの講師派遣などお仕事のご依頼は、ホームページのお問い合わせからお願いします。

 

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ランニングアドバイザー

5月最後の土日、(社)日本ランニング協会のランニングアドバイザー養成講座を受講して、ランニングアドバイザーに認定されました。

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トライアスロンを始めたのをきっかけにランニングを始め、ここ数年は歳をとってきたこともあり、身体に負担の少ない、効率的な走り方について、ラン友さんの走り方を聞いたり本を読んだりしながら、物理学的に理にかなったフォームを自分なりに研究してきました。今回の養成講座で講師を務められたのは、元オリンピック代表選手の方でしたが、私の考え方と殆ど一致しており、自分の意識が少なくとも間違った方向にはいっていなかったことを確認できました。

 

今までと違う活動をする予定は今のところありませんが、まぁ今までよりはある種自信をもってランニングの話ができるかなぁと思います。

 

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質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:EI編

久しぶりに、質量分析に関する専門的な内容を投稿します。長いのでお時間ある時に読んで頂ければ幸いです。

 

“質量分析”は、日本質量分析学会のマススペクトロメトリー関係用語集によると以下のように定義されています1)

「質量分析計(mass spectrometer)と質量分析器(mass spectrograph)、およびそれらの装置を用いて得られる結果に関するすべてを扱う科学の一分野。」

ピンと来ない部分もある定義ですが、要は“データの解釈”という部分にフォーカスされていて、“データを得る”という部分すなわち“測定”は含まれていないような印象を受けます。しかし、私は、“測定”の部分も当然“質量分析”に含まれて然るべきだと考えます。

 

“質量分析”の基礎・基本で重要なのは、何といってもマススペクトルの解釈であり、特に高分解能マススペクトルの解釈について今まで何度かにわたって書いてきました。今回から数回は、“測定”特に”イオン化”にフォーカスしてネタを書いてみます。

 

質量分析計による測定の基本はイオン化にあります。

 

質量分析は、気相イオンを分析(測定&データ解析)する科学です。今ここに、質量分析したい試料(含有成分)がある時、先ず考えなければならないことは、その試料(含有成分)がイオン化するか否か、複数のイオン化法の中からどのイオン化法を選択すべきか、ということです。ここで、この話を進める前に、イオン化の定義を明確にしておく必要があります。

 

イオン化とは...

Wikipediaでは「電荷的に中性な分子を正または負の電荷をもったイオンとする操作または現象」、またコトバンクでは「電気的に中性の分子や原子が、電子を失うか得るかしてイオンになること」とあります。ここで、イオンになるときに分子内結合の開裂・断片化を伴う場合をイオン化に含めるか否かが問題で、その解釈次第でここでの話は意味が変わってきてしまいます。従ってここでは、分子内結合の開裂を伴う場合はイオン化には含めず、分子が元の分子構造を保ったまま(分子内結合の開裂を伴わず)正あるいは負の電荷をもつ現象をイオン化と呼ぶことにします。ただし、ここで言う“分子構造を保ったまま”の意味は三次元構造ではなく二次元構造です。

 

現在市販されている質量分析計で利用可能なイオン化法は、概ね以下です。

・電子イオン化(electron ionization, EI

・化学イオン化(chemical ionization, CI

・電解脱離法(field desorption, FD

・高速原子衝撃法(fast atom bombardment, FAB

・マトリックス支援レーザー脱離イオン化(matrix assisted laser desorption ionization, MALDI

・エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization, ESI

・大気圧化学イオン化(atmospheric pressure chemical ionization, APCI

・大気圧光イオン化(atmospheric pressure photo ionization, APPI

 

今回は、EIについて考えてみます。EIは、加熱によって試料を気化させる必要があるため、加熱によって気化する性質(揮発性)をもつ試料に対して有効なイオン化法です。

通常、GC/MSで用いられているイオン化法はEIです。試料を質量分析計に導入する方法として、GCカラムを通過させる(混合物をGCカラムで分離してから導入する)方法と、イオン源内で直接気化させる直接導入法がありますが、装置によっては直接導入法が選択できない場合もあります。

 

例えば、未知試料をGCから導入してEIでイオン化し、マススペクトルを取得する場合を想定してみます。試料は、通常溶液状態で注入口に導入され、加熱によって気化した成分がキャリアーガス(ヘリウム)と共にカラムに導入されます。カラムによって分離された成分は順次イオン源に導入され、EIによってイオン化され、マススペクトルが得られます。このマススペクトルをデータベース検索し、その成分を推定するのが一般的なGC-MSによる分析の流れです。

このプロセスにおいて、試料成分のイオン化という観点から幾つかの注意点があります。先ずは、GCの注入口で試料溶液を加熱する時、試料成分が熱分解を起こしてしまう可能性があることです。ある試料成分が注入口で熱分解して別の化合物になってしまう場合、後者の構造を保ったままEIでイオン化されてM+が生成したとしても、それは、元々の構造は保っていないので、目的の試料成分がイオン化したとは言えません。この、試料成分の加熱・気化のプロセスにおいて熱分解を起こしてしまう可能性は、GCからの試料導入以外にも、直接導入法でも起こり得ます。

 

このような問題を回避できる可能性として、GCからの試料導入については“コールドオンカラム注入法”があります。また、直接導入法では“Desorption EI法”が知られています。

 

直接導入法には、通常加熱プローブが用いられます。プローブ先端のガラスキャピラリーに試料溶液を数µL注入し、イオン源に挿入、プローブ先端を昇温させて試料成分を気化させます。この時、熱に不安定な化合物は熱分解を起こしてしまいます。一方、Desorption EIでは、プローブの先端に白金線がついていて、この白金線に試料溶液を塗布してイオン源に挿入します。そして、白金線に高電流を瞬間的に流して高温にして、試料成分を瞬間的に気化させます。瞬間的に高温状態にすることで、試料成分は熱分解を起こすより前に気化される可能性が高くなります。

 

熱分解することなく試料成分が気化してイオン源に導入されたとして、次に問題になるのがEIでのイオン化です。EIでは、通常70 eVの電子線を気化した試料成分に照射して、試料成分の分子が電子を1つ失ってM+が生成します。しかし、多くの有機分子はイオン化ポテンシャルが10 eV程度であり、70 eVの電子線は分子のイオン化にとっては大過剰なエネルギーです。そのため、殆どの有機分子は、イオン化と同時に断片化(フラグメンテーション)を起こします。この時、M+とフラグメントイオンが適度な比率で観測されれば、分子の質量情報と構造情報の両方が得られるので良いですが、中にはM+が全く観測されず、全てフラグメントイオンになってしまう有機分子もあります。それが未知化合物であれば、定性分析の観点からは分子質量が分からないので致命的です。

 

“ライブラリーサーチでヒットするデータがあれば良い”

 

と考えている人もいますが、それは危険です。例えば次のデータは、農薬の一種であるテルブカルブのEIによるマススペクトルと、そのライブラリーサーチ結果です。

ライブラリーサーチ

 

m/z 277 (M+)は観測されず、m/z 220のフラグメントイオンが最も大きなm/zで観測されています。ライブラリーサーチ結果で最も類似度が高いのは、異なる化合物のマススペクトルでした。テルブカルブのマススペクトルにおいて観測されているm/z 220イオンは、以下のように生成すると考えられます。

テルミカルブ_フラグメンテーション

 

標品がある試料成分を、GC/MSを用いて定量分析を行う場合、M+が全く観測されず、全てフラグメントイオンになってしまっても、EIによって得られるマススペクトルのパターンは非常に再現性が高いので、フラグメントイオンのm/z値をモニターした選択イオンモニタリング(selected ion monitoring, SIM)で対応可能です。

 

EIとそれを用いるGC/MSはとても完成度が高く汎用性もあり有用な分析法ですが、未知試料の定性分析という観点においては、加熱気化における熱分解やEIイオン化におけるフラグメンテーションに注意が必要です。また、ライブラリーサーチは万能ではないと言うことも、是非覚えておいて下さい。

 

引用文献

1) 日本質量分析学会用語委員会編「マススペクトロメトリー関係用語集第3版(WWW版)、p. 70(2009).

 

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