エレクトロスプレーイオン化の基本:イオン種から分子質量を推測する(正イオンの場合)

液体クロマトグラフィー質量分析(liquid chromatography mass spectrometry, LC/MS)に用いられている代表的なイオン化法、エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization, ESI)や大気圧化学イオン化(atmospheric pressure chemical ionization, ACPI)では、検出イオン極性や移動相溶媒の種類に依って様々な付加イオンが生成します。

 

未知試料をLC/MSで測定した時、得られたマススペクトルからその成分の分子質量を判断することが、定性分析の第一歩です。その際重要なのが、付加イオンの解釈です。ESIにしろAPCIにしろ、分子がイオン化する際、様々な形のイオンになります。

 

代表的なのは、正イオン検出でプロトン付加分子([M+H]+)、負イオン検出で脱プロトン分子([M-H])ですが、他の付加イオンを含め、1つの化合物に対して複数の付加イオンが生成する場合もあります。生成し易いイオン種は、主にはイオン化モード(イオン化法+極性)と移動相溶媒で判断でき、その時、この表が参考になると思います。ただし、機種や各種測定条件によっては、必ずしもこの表の通りにはならないこともあります。

生成するイオン種

 

例えば、ESI(+)LC/MSで二つの化合物を測定して、次のようなマススペクトルが得られたとします。同位体イオンの分離挙動から、これらは全て1価イオンであることが確認されていれば、プロトン(H+)の質量は整数で1、ナトリウムイオン(Na+)の質量は整数で23ですから、化合物Aのマススペクトルで観測されているm/z 501[M+H]+m/z 523[M+Na]+と帰属することができ、化合物Aの質量は整数で500であることが分かります。

 

また、化合物Bのマススペクトルでは、アンモニウムイオン(NH4+)の質量が整数で18であることを考慮すると、m/z 700が[M+H]+m/z 717は[M+H]+m/z 722は[M+Na]+と帰属することができ、化合物Aの質量は整数で699であることが分かります。

マススペクトル

 

これらは、ESI(+)では最も基本的なパターンです。、ESI(-)やもっと複雑なケースについては、別の機会に解説します。

 

 

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