LC-MSに限らず、製品のスペック(仕様)と価格の関係を考えない人って結構いると思う

製品のスペックと価格は密接に関係しています。趣味に関する物、例えば骨とう品や服、美術品などは求めるスペックが人それぞれ違うので、一概には言えません。しかし実用品に関しては、性能が高いものは価格も高いし、性能が低いものは価格も安いと言えると思います。あるいは、全体的な性能はショボくても、何か一つ特化して高い性能の物なども価格が高くなることはあります。

また、直接価格に関係しなくても、製品にはその開発のコンセプトがあり、コンセプトに基づいてスペックが決められています。○○用と謳った製品のように、用途を限定してスペックが決められた製品のことです。例えば車であれば、ファミリー向けとかスポーツカーとかトラックとかと言うカテゴリー(用途としてのスペック)があり、用途をある程度限定しています。そのカテゴリーの中で、性能の高いものは比較的価格が高く、性能の低いものは比較的価格も安いということになります。

 

製品を売る側は、用途としてのスペックとそのための性能、それに基づいて決められた価格を買う側に説明し、買う側はそれが自分の求めているもの(予算や使用目的など)と合致すれば購入する訳です。

 

私が仕事をしている質量分析の業界でも、上記の事は概ね一般的に当てはまります。色々なことが出来るかあるいは特化した高い性能のものは価格が高く、単機能で性能も大したことないものは価格が安い、総じてそのように言うことができます。安い装置は、出来ることも得られるデータも大したことないということです。その分安いのです。

時として、売る側が無知で(あるいは嘘をついて)、製品のスペックを買う側に正しく説明せず、買う側が購入した後に製品スペック以上のことが出来ることを期待してしまいます。そうなると最悪で、販売した企業の評判が悪くなるだけなら良いのですが、下手をすると、質量分析自体が使えない機器分析法であるかのように誤解されてしまう場合も有り得ます。しかし、実際そういうケースは結構あり、実に嘆かわしいです。

 

最近、エムエス・ソリューションズで開発・製品化した“ソルナックシリーズ”は、かなりスペックを限定した製品です。例えば“ソルナックチューブ”、HPLC溶離液に添加したリン酸塩を、カラムの後段で除去するデバイスですが、リン酸塩を連続できる時間は、10 mM濃度を0.3 mL/minで流した時に大凡10分間。基本的には1分析毎に交換する使い捨てです。価格は、10本パックで1本あたり3,000円。10分間の1分析で3,000円という額が高いか安いかは議論が分かれるところです。

 

私達が掲げているソルナックチューブのコンセプトは明確です。

 

リン酸塩を含む溶離液はLC/MSには使えないので、例えばリン酸塩を含む溶離液でHPLC条件が決まっている試料があるとして、それをLC/MS分析に供するには揮発性の酢酸アンモニウムなどに変更する必要があります。それが1日かかるとして、月収30万円の人がその作業をすると、人件費だけで3万円程かかる計算になります。そんなことをするよりは、先ず13,000円のソルナックチューブを試してみた方が無駄な時間もかからないしトータルコストは安くすみますよ。取り合えずファーストチョイスで使ってみて下さい!

ということです。

 

それに対して、“1分析しかできないものは使えない”、“1分析3,000円は高い”、などと言ってくる人が結構います。

 

連続分析に対応するためにe-SALNACというバルブシステムがありますが、それでもソルナックチューブ交換なしでの連続分析は12回しかできませんので、それ以上の連続分析への要求は、現在新しいシステムを検討中です。

 

私達は、ソルナックチューブの出来ることと出来ないことを明確に説明しています。それでも“これはうちの仕事に使える”と思ってくれたお客様が買ってくれれば良い訳です。

 

繰り返になりますが、売る側は製品のスペックを正確に伝える必要があるし、買う側はそのスペックが、自分がやりたいことに合っているかを見極めてから購入する必要があります。

 

 

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