質量分析コンサルティング

LC/MS定量分析専門書6月に発刊予定

単独で執筆中のLC/MSによる定量分析の専門書が、6月に発刊予定で、出版社のホームページに案内が掲載されました。

目次を見てもらうと分かる通り、定量分析と言いながら、定性分析的な内容も充実させました。

早期申込割引があるそうなので、ご利用頂ければと思います。

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
代表取締役 髙橋 豊
E-mail: tyutaka@ms-solutions.jp
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緑茶のと生茶葉のLC/MS

緑茶と生茶葉のLC/MS測定を行ってみました。

生茶葉は真空乾燥させて、緑茶と同じ濃度に調製(水/メタノール=80/20)しました。

下の絵は、測定に使ったのと一寸違いますが装置のイラストと、全イオン電流(TIC)クロマトグラムです。

因みにこのイラストは、知り合いのお嬢さんに描いて貰いました♪

Waters TQ-XSイラスト

 

greeen tea & leaf

 

緑茶の製造では、高温で蒸す工程が入るので、正直もっとパターンが変ると思っていましたが、意外と似ていました。

両方とも、一番大きなピークはカフェイン、2番目と3番目はカテキンの類ですね。

身近にあるサンプルを測定するのって、面白いです。

 

※イラストやデータのコピーはご遠慮ください。

 

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MS解析はやっぱり生データを見るのが大切

共同研究者がLC/MSデータをデータ変換した後にソフトを使って探索した結果を知らせて来てくれて、念のために生データでフォローしたら、一部結果が違っていました。データ変換のプロセスで何かが起こって、シグナルを見逃したか何か不具合が起きた可能性があります。膨大なデータを一々生データから手動で解析するのは不可能なので、便利なツールを使うのは研究を進める上で必要ですが、やっぱり最後には生データを見て確認しないと、安心できないですね。

 

 

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MS/MS(タンデム質量分析)の動作や用語その3

今回は、MS/MS(タンデム質量分析)の動作や用語その3、プリカーサーイオンスキャンについてです。

プリカーサーイオンスキャンは、特定のプロダクトイオンを生成するプリカーサーイオンを検出するMS/MSの測定法です。

 

タンデム質量分析には、空間的タンデム質量分析と時間的タンデム質量分析があります。それぞれの方法に対応する装置として、前者はQqQ, QTOF, Q-Orbitrap4セクターなど、後者はQITFTICRなどがあります。今回のテーマであるプリカーサーイオンスキャンは、空間的タンデム質量分析で且つ、MS1, MS2共に電圧走査型の装置でのみ実施可能です。先に挙げた中では、QqQ4セクターが相当します。QqQを例に動作を説明します。

プリカーサーイオンスキャン

1 QqQ-MSにおけるプリカーサーイオンスキャンの動作

 

MS2は特定のm/zのイオンのみが通過できるように電圧を固定します。つまり、SIMの状態に設定します。そして、MS1はスキャンモードで動作させます。MS1は、設定したm/z範囲のイオンが小さい方から順番に全て通過し、qCIDによって開裂してプロダクトイオンが生成します。その中にMS2を通過するイオンがあった場合、その時のMS1の電圧から通過していたプリカーサーイオンのm/z値が分かります。

 

Q-TOFQ-Orbitrapでは何故プリカーサーイオンスキャンができないか?

 

MS2が電圧走査(スキャン)型の質量分離部ではないからと言ってしまえばそれまでですが、MS/MSの動作を考えれば容易に理解できます。TOFOrbitrapの共通点は、質量分離部に対して、イオンをパルスで打ち込む事です。Q-TOFQ-OrbitrapMS/MSで、プリカーサーイオンスキャンの動作が可能かどうか、ここで考えてみましょう。先ずQをスキャンしてイオンをm/zの小さい順に通過させ、q(コリジョンセル)でCIDによって開裂させます。そのプロダクトイオンを、一定時間毎に、Q-TOFの場合は直交加速によってTOFに、Q-Orbitrapの場合はCトラップからOrbitrapに、パルス状に打ち込みます。この「一定時間イオンを貯める」動作によって、プリカーサーイオンとプロダクトイオンの関係性が失われてしまう事が、これらの装置でプリカーサーイオンスキャンが出来ない理由です。プロダクトイオンスキャンの応用例として、陰イオン界面活性剤である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)のデータを図2に示します1)LASの負イオンESIにより得られた[M-H]-をプリカーサーイオンとしたプロダクトイオンスペクトルにおいては、直鎖の炭素数に依らずm/z 183イオンが生成します1)。このm/z 183イオンを設定したプリカーサーイオンスキャン測定のデータが図2です。

プリカーサーイオンスキャン例 島津

2. プリカーサーイオンスキャン測定の結果

サンプルはLAS標準溶液を使用。左:TICクロマトグラム、右:C123番目のピーク)のピークトップのマススペクトル1)

 

引用文献

1) 渡辺淳、TMS研究会要旨、Microsoft Word – 島津ー渡邉ー要旨_20120128.doc (tms-soc.jp)2021412日現在。

 

 

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CE-MSによるアミノ酸混合物の測定データ

以前のブログに、アメリカのベンチャー908devices社が開発したマイクロチップベースのCE-MSインターフェースの販売協力をする事になったという記事を載せました。

今日は、その製品を使ってアミノ酸混合物を測定したデータをご紹介します。

このインターフェースは、Thermofisher ScientificのQ-EXactiveに接続して使用しました。通常のESIソースを外して、トランスファーチューブのカバーを外すだけで、簡単に取り付ける事ができます。その後ラインやチップのプライミングなどを行って、ESIソースの取り外しから30~40分くらいで、CE-MSとして使用する事ができます。

CE-MS TIC

CE-MS Spectra

上の図がTICC (total ion current chromatogram、全イオン電流クロマトグラム)で、①~④のラベルを付けたピークの4つのマススペクトルが下の図です。

メーカーが準備したアミノ酸混合物なのではっきりとは記憶していませんが、確か16種類くらいのアミノ酸混合物の溶液だと思います。

それが2分以内に測定できてしまいます。このスピード感が、CE-MS特にZipChipの特長と言えるでしょう。

 

 

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MS/MS(タンデム質量分析)の動作原理や用語 その2

 

前回、MS/MSの種類を5つ挙げ、その中のプロダクトイオン分析について解説しました。プロダクトイオン分析は、未知化合物等の定性に用いられますが、今日は、プロダクトイオン分析と装置の動作原理は非常に似ていて、定量分析に用いられる選択反応モニタリング(selected reaction monitoring, SRM)について解説します。

SRMは、分析現場においては、殆どはQqQ-MSを用いて行われる手法です。原理的には、Sector-MSIT-MSにおいても実行可能です。ここでは、主にQqQ-MSによるSRMについて、その動作や用語について整理してみたいと思います。

SRMについて解説する前に、SIM(選択イオンモニタリング, selected ion monitoring)について確認しておきましょう。SIMは、Q-MSなどの電圧走査タイプの質量分析計において、主に定量分析に用いられる測定法です。Q-MSにおける印加電圧とイオンの安定振動領域の関係を図1に示します。

 

QMS 安定振動領域

1 Q-MSにおける電圧走査とイオンの安定振動領域

 

直流電圧と高周波電圧の比を一定に保ちながら、電圧走査線に沿って連続的に変化させると、イオンはm/zの小さい順に四重極を通過して検出器に到達し、マススペクトルとして記録されます。この電圧を連続的に走査する測定法を、スキャン測定と言います。一方、この電圧走査線に沿った変化を、連続的ではなく段階的に変化させ、特定のm/zのイオンのみQを通過させて検出する方法がSIMです。定量分析では何故SIMが用いられるか? それは、1つのイオンがQを通過し検出器に到達する時間を、スキャン測定よりも長く保つ事が出来、結果として多くのイオンを検出する事が出来るためです。

1から分かる通り、Q-MSにおけるスキャン測定では、あるm/zのイオンがQを通過する瞬間、他のm/zのイオンはQを通過する事が出来ません。例えば、m/z 500までの範囲を0.5秒でスキャンしてマススペクトルを測定すると、1つのイオンがQを通過する(1つのイオンを検出する)時間は、1 ミリ秒です。一方SIMでは、指定したm/zのイオンだけを通過させるため、例えば1回の測定で50 成分測定(1成分につき1つのイオンを検出)し、サイクルタイムをスキャンと同じ0.5秒に設定すると、1つのイオンを検出する時間は10 ミリ秒となり、単純計算でスキャンのときより10倍のイオン量を検出出来る事になります。

LC/MSの定量分析においてSIMよりSRMの方が多用されている理由、それはSRMの選択性の高さに他なりません。Q-MSの質量分解能は低く、SIMではm/z 1の範囲に含まれるイオンがQを通過します。つまり、分析種と整数質量が同じで精密質量の異なる夾雑物や、LCカラムで分離出来ない他の成分が存在していると、それらが分析種と一緒に検出されてしまう事になります。

SRMにおけるQqQ-MSの動作を図2に示します。先ずQ1SIMの設定にして分析種由来の特定のm/zのイオンだけを通過させ、そのイオンをqCIDによって開裂させ、生成したプロダクトイオンの中から1つまたは複数のイオンのみをQ2を通過させて検出する。即ち、Q2Q1と同様SIMの動作をさせる事になる。

 

 SRM

2 QqQ-MSにおけるSRMの装置動作

 

前述したように、Q-MSは質量分解能が低いため、SIMでは選択性が十分でないケースがある。しかし、Q1を分析種イオンと一緒に通過してしまうイオンがあるとしても、開裂によって生成したプロダクトイオンのm/z値まで同一になる可能性は低くなります。3種類のアミノ酸混合物の、SIMSRMにより得られたクロマトグラムの比較を図3に示します。標準試薬の混合物であるため、夾雑成分などは少ない筈ですが、SIMではベースラインが高く、他のピークが高く検出されているクロマトグラムもあります。一方、SRMでは各アミノ酸のピークが明瞭に検出されています。

 

SIM&SRMクロマトグラム

3 (左)SIMと(右)SRMのクロマトグラム比較

 

SRMは、QqQ-MSを販売している各メーカーではMRM (multiple reaction monitoring)と呼んでる場合があります。現場でSRMによる定量分析を行っている分析者の方には、MRMの方が、馴染みが深いかも知れません。日本質量分析学会が発刊しているマススペクトロメトリー関係用語集の第三版では、MRMよりSRMの使用を推奨していました。しかし最近第四版が発刊され、その中では、「選択するプリカーサーイオンとプロダクトイオンのm/z値の組み合わせは一組とは限らない。複数の組み合わせを選択する選択反応モニタリングを特に多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring, MRM)と呼ぶ」と記載されています1)

SRMと言う用語も複数チャンネルの使用を制限されてはいませんので、複数チャンネルの場合はMRMを使うと言う説明は少し苦しい気がします。個人的には、「どちらを使っても良い」という説明でも良いと思いました。

 

引用文献

マススペクトロメトリー関係用語集、日本質量分析学会用語委員会編集、p.84 (2020).

 

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