質量分析コンサルティング

LC, LC/MSに用いる緩衝液の理解に役立つサイト紹介

LCやLC/MSの移動相に緩衝液を用いる事があります。

LC/MSの場合、基本的には不揮発性の塩を含む緩衝液は使えませんので、使用できる緩衝液には制限があります。

エムエス・ソリューションズで開発したソルナックチューブを使えば、LC/MSでも不揮発性の塩を含む緩衝液を使う事は出来ますが、やはり万能という訳ではありません。

 

で、緩衝液を用いる理由は、移動相のpHをコントロールしてイオン性の分析種の解離状態を安定化させるためですが、このサイトは、そのことが分かりやすく書かれていると思います。LCやLC/MSのためのサイトではありませんが、ご参考になれば。

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
代表取締役 髙橋 豊
E-mail: tyutaka@ms-solutions.jp
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CE-MSによる受託分析事業を行います

以前のブログで、株式会社エス・ティ・ジャパンで扱っている”ZipChip”と言うCE-MSインターフェースのことをご紹介しました。この会社、前職の同僚が何名か務めていて、この製品の担当が正にそのうちの一人なのです。で、この製品を国内で販売するためのお手伝いをすることになり、その一環として、ZipChipを使ったCE/MSの受託事業を行う事になりました。

ZipChip-2 ZipChip-1

 

使用可能な質量分析計は、とりあえずはThermofisher ScientificのQ-Exactiveです。

 

これから装置をセットアップするので、分析を受けられるようになるのはまだ暫く先になると思いますが、CE/MSにご興味があれば是非お問い合わせください。

 

 

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LC-MSにおけるイオン取込細孔の電圧設定と付加イオンパターン

以前のブログで、イオン導入細孔の設定電圧とマススペクトルパターンの変化について書きました。イオン導入細孔は、ESIAPCIなどの大気圧イオン源において、大気圧で生成したイオンが真空領域に入っていく時に最初に通過する細孔です。図1をご参照下さい。

 ESIソース

 

図1 ESIソースの概略図

 

メーカーによって名称は異なり、cone, orifice, transfer tube, heated capillaryなどと呼ばれています。その後に続く差動排気部にイオンを送り込むために、数十V程度の電圧が印加されています。その電圧を高く設定すると、細孔を通過した後にイオンが残存ガスと衝突してフラグメンテーションを起こす(In-source fragmentation)ことは、以前のブログに書きました。

その際、付加イオンの強度比が変化するのですが、今日はそのことについて書いておきます。WatersQTOF-MSSynapt G2-XS)でConeの電圧を30 V, 50 V, 70 Vに設定した時の、ロイシン・エンケファリンのプロトン付加分子([M+H]+)付近のm/z領域のマススペクトルを図2にしまします。

ロイシンエンケファリン_cone電圧_付加イオンパターン

図2 ロイシン・エンケファリンのマススペクトル(Coneの設定電圧と付加イオンパターン)

 

このブログにも書いた通り、ロイシン・エンケファリンの[M+H]+m/z 556)は30 Vの時に最大強度を示し、電圧を上げると共に強度は減少し、フラグメントイオンが生成します。この時、付加イオンは[M+H]+に対して[M+Na]+[M+K]+が相対的に増加しています。NaイオンやKイオンが付加する事でイオンの構造が安定化するために、高いCone電圧の時に相対強度が大きくなると言う現象が起こります。

例えば通常の条件設定でLC/MSを行い、未知成分のマススペクトルで顕著なピークが1本しか観測されずにイオン種が決定できないような時、この電圧を高めに設定する事で付加イオンパターンが変化すれば、イオン種を決定できる場合があります。

 

 

 

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質量分析オンラインセミナー実施

年間で質量分析のコンサルティング契約を頂いている企業様より、新型コロナウィルス感染拡大防止対策として、外部の人が社内に入れない状況になっている(私自身も移動を自粛中)と言う事で、オンラインセミナーのご依頼を頂き、初めての試みでしたがやってみました。

 

使用したのはTeams。先方でチームを作ってもらい、私が招待して貰いました。管理者の方に、私を発表者に設定して貰う事で、こちらで作成したプレゼン資料を共有でき、それを使ってマススペクトル解析に関する講義を行いました。マススペクトルは、日常的に測定する機会が多い化合物で、詳細には解析できていない例を数日前に準備して頂きました。

 

やってみて率直に感じたのは、”やりにくい”と言う事です。私は元々、セミナー等の講義の時、画面を見るよりも聴講者を見て、表情などで理解度を予想しながら話を進めるタイプです。オンライン講義の場合、自分のパソコン画面にはプレゼン資料を表示させてしまうため、参加者全員のカメラ画像を表示させる事は出来ません。また、カメラ画像を各自が表示してしまうと通信が途切れてしまうリスクがあるため、その時はそもそも全員非表示にしていました。

 

ネットの向こう側で、皆さんが聴いてくれていると言うのは理解しつつも、私が話しているときのレスポンスが全くない(聴講者の表情やリアクションが見えない)状況で、パソコンの画面に向かって話しているときの感覚は、違和感そのものでした。

 

良い点として挙げられるのは、何と言っても移動の必要がない事ですね。そのお客様の事業所は、私の自宅からはdoor to doorで2時間近くかかるので、その時間と距離をゼロに出来ると言うのは、何とも便利な世の中になったものだと感心します。

他の良い点は、セミナー中等にディスカッションした内容を、その場でプレゼン資料に反映できる事です。ディスカッションの内容や書き込む量にもよりますが、全員が画面を共有している状況で、資料を修正したり書き込んだりできるのは、とても有用だと思いました。

 

”余り積極的にはやりたくない”と言うのが、初めてトライしてみての感想です。しかし、今の社会状況ではそうも言っていられません。同じお客様に対して、今週もオンラインセミナーを行う予定です。

 

社員の出勤を制限されている組織が多いと思います。1回3時間以内で、質量分析オンラインセミナーのご依頼を受け付けようと思います。費用等詳細は、ホームページに掲載します。大きな質量分析関連メーカーさんがやっているように無料には出来ませんが、より正しく突っ込んだ解説をしますので、ご興味あればお気軽にお問合せ下さい。

 

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LC-MSにおけるイオン導入細孔の電圧設定とマススペクトルパターンについて

少し前に、LC-MSに用いられているESIやAPCIのイオン源において、イオン取導入細孔の電圧設定について解説する記事を書きました。

今回は、”この電圧を変えると具体的にどうなるか?”を具体例を挙げて解説したいと思います。

 

Waters社のSYNAPT G2-Sを用いて、ペプチドの一種であるロイシン・エンケファリン(C28H37N5O7、モノアイソトピック質量 555.2693)を測定した例です。正イオン検出のESIで測定すると、溶媒条件によっても異なりますが、m/z 556([M+H]+)が主に検出されます。イオン導入細孔(cone)電圧を30 V, 50 V, 70 Vに設定した時のマススペクトルを図1に示します。

ロイシンエンケファリン_cone電圧

図1 イオン導入細孔(cone)電圧と[M+H]+強度、マススペクトルパターンの関係

 

m/z 556イオン強度は、cone電圧を30 Vに設定した時に最高値を示しました。データには示していませんが、これより低い電圧では、同イオン強度も低い値を示しました。そして、30 Vよりも高い値(50 V, 70 V)に設定すると、 m/z 556イオンよりも小さな m/z 領域にイオンが観測されるようになりました。これらは、 m/z 556イオンが断片化して生成したフラグメントイオンです。この現象は、In-source CIDと呼ばれています。CIDは、collision-induced dissociationの略で、日本語では衝突誘起解離と言います。イオンがHeやN2などの不活性ガスと衝突する事で、内部エネルギーが上昇して断片化を起こす現象です。ESIのイオン源の一例を図2に示します。

ESIソース

図2 ESIのイオン源の例

 

イオン導入細孔に印加する電圧は、その後段にイオンを送り込む役割を果たしますが、この電圧を高く設定すると、残存している空気(主にN2)分子と衝突して、CIDが起こります。フラグメントイオンが生成する事で、元のイオン(プリカーサーイオン)の構造情報を得る事が出来ますが、プリカーサーイオンの強度は低下してしまうため、分析の目的に応じて、この電圧は最適値に設定する必要があります。多くのエンドユーザーの方は、この電圧をデフォルト値で使用する事が多いと思いますが、このようにイオン強度やスペクトルパターンに影響を与えるパラメーターである事を認識して使用して頂くと良いと思います。

 

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イメージング質量分析とは?

昨年の4月から、浜松医科大学発ベンチャー”(株)プレッパーズ”でも仕事をしている事をこのブログで書いています。

プレッパーズでは、現在はイメージング質量分析の受託を主な業務としています。

このブログはエムエス・ソリューションズのホームページ上で書いていますが、イメージング質量分析の事も少しずつ紹介していこうと思います。

 

先ず最初は、”イメージング質量分析とは?”です。

 

イメージング質量分析(imaging mass spectrometry, IMS)は、生体組織の切片など平面状の試料における各微小測定点のマススペクトルを満遍なく測定する事で、m/z情報を空間情報と合わせて取得し、分子マップの情報を得る事が出来る手法です。イメージを下図に示します。

IMSイメージ

 

平面状の試料表面の微小領域から直接イオンを生成させる事が出来るイオン化法としては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(matrix assisted laser desorption/ionization, MALDI)がよく知られています。IMSにおいても、MALDIと飛行時間質量分析計(time of flight mass spectrometer, TOFMS)を組み合わせたMALDI-TOFMSが汎用されています。レーザーの照射径を絞ることで微小領域からイオンを生成させる事が出来ますが、現在の市販装置では、最高で数μmのレベルまで絞る事が出来ます。MALDIは、名前に”マトリックス支援”と入っている事から分かる通り、分析種のイオン化のためにイオン化促進剤”マトリックス”が必要です。MALDI-IMSでは、試料表面の状態を保った状態で、マトリックスの結晶を薄く均一に試料表面に塗布して分析を行います。20種類以上のMALDIマトリックスが開発されており、IMSで通常用いられるマトリックスはそれ程多くはありませんが、それでも分析種の物理化学的性質に応じて、複数のマトリックスから最適なものを選択します。

 

近年MALDIに加えて、脱離エレクトロスプレーイオン化(desorption electrospray ionization, DESI)がIMSに用いられるようになって来ました。DESIは、LC/MSで汎用されているESIを平面状の試料表面に存在する物質のイオン化に応用した技術です。DESI/MSは、MALDIよりソフトなイオン化が可能で、マトリックス塗布により試料前処理が不要であり、イオン化法としての汎用性の高い方法です。

 

IMSの測定例を2つ示します。

左は、眼球切片における薬物分布を測定したデータ、右は、癌組織と正常組織における脂質分布の違いを示したデータです。

IMS-Data

 

1) N. Mori, T. Mochizuki, F. Yamazaki, S. Takei, H. Mano, T. Matsugi and M. Setou, PLOS ONE, Jan 25 (2019).

2) K. Tamura, M. Horikawa, S. Sato, H. Miyake and M. Setou, Oncotarget, 10(18), 1688-1703 (2019).

 

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