2017年6月

リン酸塩緩衝液条件のHPLCでマススペクトルを測定したいピークが現れた時の対処法

以前の投稿で、リン酸塩緩衝液条件でのLC/MSは通常不可能であることを解説しました。しかし、リン酸塩緩衝液はHPLCUV検出)の移動相としては有用なので、様々な分析に用いられています。最近のLC-MS装置は、直交型の大気圧イオン源を備えている機種が多く、営業マンに依っては“うちのイオン源は構造的にリン酸塩緩衝液を使えます”などと言うメーカーもありますが、リン酸塩がLC/MSに適さない最大の理由は“イオン化阻害”です。リン酸塩が共存することで、分析種のイオン化が阻害されてしまいます。これは、ESIのイオン化メカニズムに依るところなので、イオン源の構造には依存しません。

 

では、リン酸塩緩衝液条件でのHPLC-UVで未知ピークが観測されたとして、その成分のマススペクトルを測定したい時どのように対処するか?

 

これはLC/MSが市場に導入されてから現在に至るまで主として実施されている方法ですが、リン酸塩などの不揮発性塩を含む緩衝液を酢酸やギ酸、酢酸アンモニウムやギ酸アンモニウムなどの揮発性の緩衝液に変更する方法が一般的です。簡単にできる方法ですが、緩衝液の種類を変更することで分離の選択性が変わってしまうことがあるので、本来の目的ピークが分からなくなってしまう可能性があります。

揮発性緩衝液への条件変更

 

二次元HPLCを使用する方法もありますが、大掛かりなシステムが必要でなかなか手が出ないのが現状ではないでしょうか?

 

 

LC/MS用の脱塩カートリッジは、そんな問題に対して“取り合えず試してみる”、“幾つかの選択肢の中のファーストチョイス”になれば良いと思って開発しました。もちろん万能な方法ではありません。制限は沢山あります。上手くデータが得られるかどうかは、正直やってみないと分かりません。その分操作は簡単で、カートリッジをLCMSの間に接続するだけですし、価格も安く設定しています。

 

リン酸塩緩衝液を用いたLC/MS分析にご興味があれば、是非一度LC/MS用脱塩“ソルナック”をお試し下さい。

 

 

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無理を押してでも成し遂げなければならないことがある

 

昨日(6/18)、近所のオヤジソフトボールチームの練習中、ふくらはぎが肉離れを起こす怪我をしてしまいました(>_<)

 

途中まで参加してその後ラン友さん数名で走る予定で、軽めに終わるからと言うことでストレッチとアップを手抜いたことが原因です。やっぱり、ちゃんとやらないとイケませんね~!

 

で、普通ならその後のランはキャンセルすべきでしたが、昨日は何がなんでも走らなければならなかったので、無理を承知で走ってきました❗

 

ふくらはぎって、走る時には最も重要な部位の1つなので、肉離れを起こした状態では勿論まともに走れません(>_<)

痛い場所を庇いながら、片足を引き摺るようにしながら、何とか20 km走りきれました。

大分ゆっくりしか走れなかったので、ご一緒した皆さん、お待たせしちゃって申し訳ありませんでした(((^_^;)

 

肉離れした状態で20 km走るなんてバカじゃないの?

 

って言われそうですが、人には損得勘定抜きで、無理を押してでも成し遂げなければならないことが時としてあります。仕事であっても、仕事とは全然関係ないことであっても。

また、無理が何か期待した結果を伴わないとしても(^^)d

 

今日は、勿論まともに歩けません。朝一で整形外科にいったら、治るまでランニング禁止ですって(((^_^;)

まあ、当然ですけど…

 

早く走れるようになりたいなぁ~(о´∀`о)

 

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写真は、ランニング途中に寄った、東村山市北山公園の菖蒲。綺麗でした~(о´∀`о)

 

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2017年5月の月間走距離

2017年5月の月間走距離は、約200 kmでした。

ラン_201705

 

6日にラン友さん達数名と一緒に塩山~奥多摩60 km走、その翌日に東村山トライアスロン連合のラン練習で多摩湖周辺30 km走をこなし、21日の野辺山100 kmウルトラマラソンに備えました。

野辺山では残念ながら完走することは出来ませんでした。その記事はまた今度書いてみようと思います。

 

一昨年&その前年に野辺山を完走した時の練習と比べると、2週間前にロング走を終えるところまでは一緒ですが、その後に今年は休み過ぎたかなぁという気がしています。

直前2週間で15 km位しか走っていません。疲労抜きには軽いジョグなどを少しやった方が良いので、調整が不十分だったように思います。

 

来年に向けた課題にします。

 

 

 

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質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:CI編

質量分析計による測定の基本は、第一に化合物に適したイオン化を選択することです。もちろん、全てのイオン化が可能な質量分析計を所有しているケースは少ないので、選択すると言っても限界があるのが実態だと思います。それでも、イオン化の特徴と使用する際の注意点はしっかりと理解しておく必要があると思います。

 

前回は、電子イオン化(electron ionization, EI)について解説しましたGC/MSで標準的に使われるイオン化ですから、GC/MSと言えば先ずはEI! とりあえずそれ以外の選択肢はありませんが、問題はマススペクトルの解釈です。GC/MSでは注入口での、直接導入法では加熱気化段階での、試料分子の熱分解の可能性を考慮する必要があります。また、熱分解することなく気化したとして、イオン化の際に分子イオン(M+)が生成せず、フラグメントイオンのみが生成する可能性があることを常に考える必要があります。

 

試料分子が熱分解せずに気化したとして、EIでのイオン化過程においてフラグメントイオンのみが生成している可能性を否定できず、分子質量を知る必要がある場合、EIの代わりに化学イオン化(chemical ionization, CI)を使うのが有効です。

 

CIは、イソブタンやメタン、アンモニアなどの気体(試薬ガス)をEIでイオン化して、生成したイオン(反応イオン)と気体状の試料分子とのプロトン移動によって試料分子をイオン化させる方法です。代表的なイオン化過程は以下です。

 CI反応

 

下図にCIに用いるイオン源のイメージを示します。電子線が照射されているイオン化室に試薬ガスを充満させ、そこに気化した試料分子を導入します。試薬ガスは、試料分子より大過剰に存在するために、電子線が直接試料分子に照射される確率は極めて低く、試料分子がEIでイオン化されることはありません。従って、主として前述のような反応により、試料分子はプロトン付加分子([M+H]+)となります。プロトン付加分子は偶数電子イオンであるため安定で、フラグメンテーションは殆ど起こりません。

CIソース

 

また、CIを用いる以外にも、EIのイオン化電圧を変化させることも有効です。EIで用いる電子線のエネルギーは通常70 eVですが、それを下げることによってフラグメンテーションを抑制できる可能性があります。70 eVでは観測されなかった分子イオンが、イオン化電圧を下げることによって観測されてくることがあります。しかし、イオン化電圧を下げることによって生成するイオン量は減少するので、イオン量とマススペクトルのパターンを勘案しながら、イオン化電圧を調整する必要があります。

 

EIの解説で述べたように、未知試料をGC/MSや直接導入+EIで測定する場合、得られたマススペクトルをライブラリーサーチで検索するのは常套手段ですが、類似度の高いマススペクトルがヒットしても、その結果から化合物を同定するのはリスクが大きすぎます。

 

必要に応じて、EIのイオン化電圧を下げる、CIに変更する、可能であればその他のイオン化を試してみる、などの工夫が重要です。

 

さらに、CIはGC/MSによる定量分析においても有利な場合があります。標準的に用いられる70 eVのEIでは、多くの有機化合物が複数のフラグメントイオンを生成します。前述したように、中には分子イオンが全く観測されずフラグメントイオンのみが観測されることも珍しくありません。分子イオン、複数のフラグメントイオン、1種類の分子から複数のイオンが生成するということは、個々のイオン量が少なくなることを意味します。CIでプロトン化分子のみが生成する場合、1つのイオンに集約されますので、”分子⇒ある1つイオン”への変換効率はEIよりも高くなります。EIとCIにおけるイオンの絶対量を比較することは簡単ではありませんが、1種類のイオンのみが生成することが有利に働くケースは、試料の状況によってはあると思います。

             

 

 

インハウスセミナーへの講師派遣・分析代行等のご依頼は、ホームページのお問い合わせからお願いします。

 

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第65回質量分析総合討論会に参加して:イオン化温故知新、ESIとFABの比較-1

5/1719の3日間、つくば国際会議場において、65回質量分析総合討論会が開催され、参加してきました。参加者総数は600名を超え、大変盛況でした。

メタボロミクスのセッションが幾つかあったのですが、その中の1つ“メタボロミクス温故知新”でイオン化の話をしてきました。

 

セッションオーガナイザーの一人である大阪大学の松田史生先生と、昨年秋に開催されたLC/MSワークショップでお会いした時、FABfast atom bombardment, 高速原子衝撃法)というイオン化の話になり、私が日本電子で働いていた時にFABおよびFABを利用したLC-MSインターフェース(Frit-FAB)を頻繁に使っていたことを伝えたところ、このセッションでFABの話をして欲しいと依頼され快く引き受けました。セッションでは、ESIとFABを比較しながら、マトリックス効果特にイオン化抑制について話しました。

 

今回は、その時話した内容の中かなら、“ESIでイオン化抑制が何故起こるのか”について解説したいと思います。因みに、この内容の多くは、山梨大学の平岡先生から教えて頂いたことです。

 

メタボロミクスに限らず、現在LC/MSは多くの分野で利用されていますが、そのイオン化は90%以上ESIelectrospray ionization, エレクトロスプレーイオン化)が使われています。しかし、生体試料を測定するメタボロミクスなどの研究分野においては、夾雑成分の共存によって分析種のイオン化が抑制(あるいは促進)される“マトリックス効果”という現象が頻繁に起こり、問題になっています。イオン化抑制の原因になる物質には様々なものがありますが、中でも血漿試料に含まれるリン脂質や試料調製過程でコンタミしてしまう(と考えられる)ポリエチレングリコールなど界面活性作用をもつ物質は、マトリックス効果を示す代表例です。

 

ESIでは、図1に示すように、キャピラリー先端部の液体の塊から、静電的な引力によってイオンが液滴として引きちぎられることによって帯電液滴となり、脱溶媒⇒液滴の分裂⇒イオンエバポレーションを経て、気相イオンが生成します。

 エレクトロスプレー

図1 ESIにおけるイオン生成の様子

 

 

この時、帯電液滴の電荷密度と液滴の大きさはキャピラリー先端の内径、液体の流量、および液滴の生成を補助する外力(ネブライザーガス)の有無に依存します。即ち、キャピラリー先端の内径が小さく、液体の流量が少なく、ネブライザーガスを使わない条件では電荷密度の高い小さな液滴が生成し、キャピラリー先端の内径が大きく、液体の流量が多く、ネブライザーガスを使う条件では電荷密度の低い大きな液滴が生成します。マトリックス効果は、帯電液滴の電荷密度が低い程受けやすく、それはエネルギー供給が絶たれた状態の帯電液滴から、時間をかけて脱溶媒⇒液滴の分裂⇒イオンエバポレーションという過程を経ることに主な原因があると考えられます。界面活性作用をもつ物質(界面活性剤)によるイオン化抑制のイメージを図2に示します。

イオンエバポレーション

図2 界面活性剤によるイオン化抑制のイメージ

 

 

界面活性剤は、気液界面すなわち液滴の表面に集まりやすい性質があり、イオン化効率(プロトン親和力)も高いことが多いため、液滴表面から優先的にイオンエバポレーションして気相イオンになります。界面活性剤が優先的にイオンエバポレーションすることで、帯電液滴中の電荷密度は減少します。この時、元々の液滴電荷密度が十分に高く液滴が小さければ、界面活性剤が先にイオン化して液滴の電荷密度が減少しても、液滴の更なる脱溶媒によって電荷密度は高まるので、分析種もイオンエバポレーションすることができます。しかし、元々の液滴電荷密度が低く液滴が大きい場合、界面活性剤がイオン化することで液滴内の過剰電荷が著しく減少し電荷密度が小さくなりすぎてしまい、更なる脱溶媒⇒液滴分裂⇒イオンエバポレーションの過程が進行するのに時間がかかるため、液滴内に残った分析種がイオンエバポレーションされない(MSに取り込まれない)ことになります。

 

一般的に用いられているESイオン源のイメージを図3に示します。図3に示すようなESイオン源では、通常LC移動相は200400 µL/minで用いられます。図1に示すような、静電的な引力のみで帯電液滴が生成する液体導入量は<数 µL/minであり、それ以上の流量では液滴生成を補助するためにネブライザーガス(図3中のN2)が用いられます。ガスの圧力で無理やり液滴を作るために、帯電液滴の電荷密度は静電的な引力のみで作られた液滴に比べると、当然小さくなります。また、数百 µL/minという高流速に対応するため、キャピラリー先端の内径は低流速で用いるESIよりも大きくせざるをえません。このような一般的なESイオン源では、前述したような理由でイオン化抑制が起きやすくなります。

ESIソース

図3 一般的なESイオン源のイメージ

 

内径の細い(数 µm)キャピラリーを用い、nL/minオーダーの液体導入量で用いるESIは、ナノESIと呼ばれます。ナノESIの応用例として、細胞にナノESIチップを突き刺してサンプリングし、溶媒で希釈するだけで直接マススペクトルを測定する、一細胞質量分析が知られています。細胞から直接サンプリングするため、試料溶液には大量の塩が含まれます。塩もイオン化抑制を示す物質の代表例の1つですが、大量の塩が含まれていても代謝物などの含有成分由来のイオンが観測されるのは、ナノESIで生成する帯電液滴がイオン化抑制を起こし難い環境であるからにほかなりません。ただし、ナノESIを用いればイオン化抑制を完全に防げるという訳ではありません。

 

 

次回は、“エネルギー供給が絶たれた状態の帯電液滴”を経ることがイオン化抑制の原因になるという事について、他の事例を挙げて考えてみたいと思います。

 

 

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ランニングアドバイザー

5月最後の土日、(社)日本ランニング協会のランニングアドバイザー養成講座を受講して、ランニングアドバイザーに認定されました。

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トライアスロンを始めたのをきっかけにランニングを始め、ここ数年は歳をとってきたこともあり、身体に負担の少ない、効率的な走り方について、ラン友さんの走り方を聞いたり本を読んだりしながら、物理学的に理にかなったフォームを自分なりに研究してきました。今回の養成講座で講師を務められたのは、元オリンピック代表選手の方でしたが、私の考え方と殆ど一致しており、自分の意識が少なくとも間違った方向にはいっていなかったことを確認できました。

 

今までと違う活動をする予定は今のところありませんが、まぁ今までよりはある種自信をもってランニングの話ができるかなぁと思います。

 

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