2017年12月

大学技術職員さん向けの研修会で質量分析の講義をした時のアンケート結果を見て

8月の末に、全国の大学の技術職員さん達の研修会が長岡で行われ、その前日に質量分析の講義を行い、その時のことを以前ブログに書きました

技術職員研修会チラシ

 

最近になって、その時の参加者に対して行ったアンケート結果が、主催者から送られてきました。概ね好評だったので、先ずは一安心しました。

 

プラス意見の1つに、“MSメーカーの人ではなかったこと”が挙げられていました。この種の講義には、メーカーのアプリケーション担当者が呼ばれることが多いのですが、その場合どうしても自社装置の宣伝的な内容が入ってしまいます。話す本人はそのように意識して居なくても、聴講者からはそのような印象を持たれてしまいます。まぁ、仕方ないことではありますが。その点では、私はMSメーカーではなく、かといってユーザーという訳でもなく、大学でたまに講義なんかやったりして、でも企業の人間で、自分で質量分析も行っていて、面白い立場ですよね。それが良かったのかも知れません。

 

マイナス意見の1つには、“LC/MSの話しが中心だったのが残念”というのがありました。その方は普段、直接試料導入でのFABEIの測定をすることが多いのだと思います。私自身、日本電子に勤めていた時は、直接試料導入のEIFABGC/MSLC/MSMALDI/MS、ありとあらゆるタイプの質量分析を経験し、今では殆どがLC/MSですが、やはり難しいのはLC/MSに関連することだと思い、今回はある程度LC/MSにフォーカスした内容にしました。参加者は30名程居ましたから、その人達全てが満足する話を1時間程度で出来る訳はなく、多少マイナスな意見があるのは仕方ないかなぁと思います。

 

今回は初めての場で、手探りで講義内容を考えたので、次回もし呼ばれれば、少し違う視点から話を組み立てても良いかなぁと思いました。

 

この種の講義には、交通費(必要であれば宿泊費)だけ出して頂ければ無報酬で講師依頼を受けています。お気軽にご相談下さい。

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
http://www.ms-solutions.jp/
住所:〒187-0035 東京都小平市小川西町2-18-13
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第38回日本電子株式会社MSユーザーズミーティングに参加して

私の前職である日本電子株式会社のMSユーザーズミーティングに、協力企業として参加してきました。12/1に東京大学、12/8には大阪の千里ライフサイエンスセンターで開催。カタログ展示とショートプレゼンをさせて頂きました。

 

日本電子を辞めて7年半、今年から販売しているLC/MS用オンライン脱塩システム“ソルナック”の開発段階から、実験のためにLC-TOFMSJMS-100LP AccuTOF“を貸して頂いており、またソルナック自体にも興味をもって頂き、今回カタログ展示に声をかけて頂きました。有難い限りです。

 

ユーザーズミーティングと言うイベント、各MSメーカーで行っており(メーカーに依ってユーザーフォーラムと言ったりする)、自社の装置を使っているエンドユーザーに対して、新製品や製品を使ったアプリケーション例などを紹介する場です。日本電子のMSのラインナップは、GC-(Q, TOF)MS, LC-(TOF)MS, MALDI-(TOF)MSですが、アプリケーションに依っては前処理などの周辺付属装置やデータ解析用の専用ソフトなどが必要であり、そのような製品を扱っている企業との協力が必要になります。全部で10社程の企業が展示していました。

 

私は、日本電子に勤めていた頃、特に入社してからの10年一寸の期間はLC/MSのアプリケーション開発を担当していたので、ユーザーズミーティングでは毎年のように発表していました。今回は3分間という短いショートプレゼンでしたが、日本電子のユーザーズミーティングの演台に立ち、とても懐かしかったです。

 

上で列記した様々な装置の市場規模は、金額ベースではLC-MS > GC-MS > MALDI-MSであり、主なMSメーカー各社も、概ねこの順番で新製品開発やアプリケーション開発を行っています。一方日本電子は、私が辞める少し前から、LC-MSには余り力を入れなくなってしまい、替わりに、それまでもやっていたGC-MSや新たにMALDI-TOFMSの開発に力を入れるようになっていました。どんな製品開発に力を入れるかは、限られたリソースの中で取捨選択してトップが決めることなので、私のような下っ端がとやかく言えたことではありませんでしたが(実際にはとやかく言いましたが。。。)、そんなことが辞める理由の一つだったかも知れませんね。

 

それはそれとして、日本電子でもLC-MS事業を全く止めてしまった訳ではなく、AccuTOFのリモデル(質量分解能向上と制御ソフトの一新)は行っていました。しかし、昨今のLC-MS業界はLC-MS/MS全盛期、主なMSメーカーは殆どLC-MS/MSを開発しているし、ユーザーの仕事もLC-MS/MSを必要とするものが増えているという現状があります。

しかし、MS/MS機能の無いLC-TOFMSでも適するアプリケーションは確実にあり、それに対して、エムエス・ソリューションズで開発したソルナックという技術を組み合わせることで、AccuTOFの競争力が少しでも上がるなら、我々としても非常に嬉しいことです。

 

現在、ソルナックは製薬企業様を中心にご購入頂いていますが、その全てが今のところは日本電子以外のLC-MSを使っているお客様です。ソルナックは、どんなLC-MSにも配管接続だけで使える物なので、現場のユーザーがMSメーカーとは関係なく独自に購入して使って頂いています。ソルナックに関してMSメーカーとタッグを組むのであれば、当然日本電子最優先ですね。

 

さて、今回は日本電子MS販促の山本さんに声をかけて頂いて実現したソルナックのカタロ展示ですが、東京と大阪の両方で実施した感想は、“新しい技術は大阪の方が受けが良い”です。まだまだ知名度が低く、初めて知ったという方が圧倒的でしたが、大阪の参加者からは、“おもろいなぁ”とか“よう考えたなぁ”などという意見が沢山聞かれました。人間性の違いなのでしょうか、以前から大阪の人は新しい物好きという印象をもっていましたが、今回もそれが垣間見えました。実際、9月から発売を始めたばかりのソルナックチューブ、毎月リピートオーダー頂いているのは大阪のお客様です。

 

また、営業を担当してくれている総代理店のアルテア技研さんからも上がってきていて、今回のユーザーズミーティングでもいくつか聞かれた意見は、“多検体の連続分析への対応”でした。ソルナックチューブは基本的には1分析に1本使います。12本まで自動切換ができる連続分析用のバルブシステムはありますが、やはり中途半端と言わざるを得ません。

 

100検体位は連続分析可能なシステムを開発したいし、具体的なアイデアもあるのですが、問題は開発費が無いことです。これは、二人でやっている超零細企業の弱いところですね。いまやっているドラマ“陸王”にでてくる“こはぜや”の状況が我が事のように理解できます。

 

連続分析用のソルナックシステムの開発、まぁ何とか工夫してやるしかないですね!

 

 

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2017年11月の走距離

11月の走距離は、約180 kmでした。

9, 10月と100 km未満だったので、150 kmいけば良いと思っていました。脚の状態は良くなってきています。

距離を走ると大臀筋に痛みが出てきますが、もう慣れてきたので、痛い状態でもそこそこ走れています。

今月は週末に少年サッカーの予定を何回か入れつつ、200 kmまで伸ばそうと思います。

 

走距離_201711

 

 

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解離抑制を志向したLC溶離液条件はLC/MSには適さない

逆相分配クロマトグラフィーでイオン性化合物(酸性 or 塩基性)を分析する場合、カラムに保持させるための方法は大きく分けて以下の2つです。

 

  1. 解離抑制による方法
  2. イオン対試薬を用いる方法

 

通常のHPLCで用いられるイオン対試薬は不揮発性のものが多く、LC/MSには適しません。そのため、LC/MSに用いられる揮発性のイオン対試薬が市販されています。

 

解離抑制による方法についても、LC/MSには適しません。今回は、安息香酸の分析を例にとって説明します。安息香酸のpKa4.2です。図に示すように、溶離液のpH4.2の時に解離状態と非解離状態が1:1pH2.2以下ではほぼ100%が非解離、pH6.2以上でほぼ100%が解離状態となります。解離状態と非解離状態では、解離状態の方が高極性になるので、逆相分配クロマトグラフィーでは保持が弱くなります。つまり、保持を強くするためには、pH2.2以下にして非解離状態にすれば良い訳です。このような溶離液条件は、UV検出器などを用いる通常のHPLCでは問題なく使えます。

安息香酸

 

LC/MSでは、安息香酸は弱酸性でプロトンの授受に関与する官能基はカルボキシ基なので、負イオン検出で測定するのが一般的です。安息香酸を負イオンで検出する時に、強酸性の溶離液を使用してしまうと、溶離液の添加剤の方がイオン化され易くなり、安息香酸のイオン化を抑制してしまうという問題が起こります。

 

このように、一般的なHPLCでは普通に用いられる解離抑制による溶離液条件は、LC/MSには適さないということになります。不揮発性塩を含む緩衝液と同様、通常のHPLCで使える移動相条件がLC/MSで使えないというのは、分析条件を検討する上ではストレスになります。

 

今回、この問題に対してソルナックチューブを適応させてみました。ソルナックチューブは、元々はリン酸ナトリウムやリン酸カリウムを除去するために開発したものです。そのため、ソルナックチューブには、陽イオンと陰イオンの両方を吸着させる機能があります。そのため、分析種もソルナックチューブに吸着してしまう可能性があります。一方、解離抑制を志向した溶離液条件に用いる場合、例えば今回の安息香酸の例では、溶離液の添加剤としてTFAを用いるとすると、安息香酸とTFAではTFAの方がpKaが小さいために、TFAのみが吸着して安息香酸は吸着しないようにイオン交換樹脂を細工すれば、TFAのみを選択的に除去することができます。

 

添付URLのアプリケーションデータでは、試料にトリプトファンを用いています。トリプトファンは、芳香環の影響によって解離抑制の条件を用いなくても逆相カラムに保持しますが、今回はTFAよりも負イオン([M-H])になり難い(TFAによりイオン化抑制を受け易い)例として用いました。

 

塩基性化合物のLC/MSについても、逆の性質のソルナックチューブを用いることで、解離抑制による溶離液条件を用いることが可能になります。

 

 

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