2018年8月

マススペクトルのm/z値と分子の質量・分子量との関係について

以前に同様な記事を書いたと思うのですが、マススペクトルで観測されたイオンのm/z値から得られる元の化合物分子の質量情報について、誤解されている方がまだまだ多いので、改めてまとめておきたいと思います。

 

 

先ず、マススペクトルで観測されたイオンのm/z値から元の化合物の分子量情報が得られると思っている人が非常に多いですが、これは条件に依っては正しくありません。特に、低分子化合物については、通常分子量では無く分子の質量に関する情報が得られます。分子の質量と分子量はどう違うのか? 両者の違いを明確にしておく必要があります。

 

化合物を構成する元素には、多くの場合同位体が存在します。ここでは、天然存在比が比較的多い安定同位体のみ取り上げます。例えば炭素では12C13C、水素では1H2H、窒素では14N15N、酸素では16O, 17O, 18O、などです。各元素において、天然存在比の最も多い同位体を主同位体と言います。前述の4元素については、12C, 1H, 14N, 16Oが主同位体です。分子の質量と分子量の違いを理解する為には、原子の質量と原子量の違いを明確にしなければなりません。原子の質量とは、炭素・水素などの各原子について、同位体毎の質量の事です。12C原子の質量は12.000…13Cの質量は13.00336です。そして炭素の原子量は、各同位体の質量に天然存在比(12C:約98.93%13C:約1.07%)を加味した平均値ですから、12.0107となります。有機化合物を構成する代表的な元素について、同位体の質量と天然存在比の表は以下のようになります。

同位体質量表

 

分子の質量は分子を構成する各元素について同位体毎の質量の和であり、分子量は同位体存在比を加味した原子量の和です。アミノ酸の1種であるアルギニンを例にとって説明します。アルギニン分子の元素組成はC6H14N4O2ですから、各原子について主同位体で構成される分子の質量は174.111679であり、整数で表すと174となります。また分子量は174.201であり、整数で表すと174となります。主同位体で構成される分子の質量を精密質量で表したものをモノアイソトピック質量と言い、整数で表したものをノミナル質量と言います。低分子化合物には、モノアイソトピック質量と分子量の値が近く、整数で表すと同一になるものが多く、分子の質量と分子量を混同してしまう原因になっていると思います。C, H, N, Oは何れも主同位体が天然存在比の大部分を占める(最も少ない12Cでも98.93%)ため、この様になります。尚、アルギニン分子の構成元素C, H, N, Oの中で、どれか1つの原子が主同位体よりも質量数が1大きな同位体に置き換わった分子(例えば6個の炭素原子の1つが13Cに置き換わった分子)の質量は、整数で表すと175となります。

 

一方、ハロゲン元素の様に、主同位体の天然存在比が比較的小さな元素を含む化合物では様子が変わってきます。例えばブロモアントラセン、元素組成はC14H9Brです。臭素の同位体は、上の表で分かる様に、主同位体は79Brで天然存在比は50.69%、第二同位体である81Brの天然存在比は49.31%であり、殆ど差がありません。モノアイソトピック質量は255.9888、ノミナル質量は256、分子量は257.1298であり、ノミナル質量と整数で表した分子量(257)との間に1の差が生まれてしまいます。ブロモアントラセンのLD-TOFMSlaser desorption time of flight mass spectrometer)によるマススペクトルを下図に示します。

ブロモアントラセン

 

これらは分子から電子が1つ脱離したイオン(M+)であり、電子の質量を無視すれば、m/z値は中性分子の質量と等しくなります。m/z 25679Brを含むブロモアントラセンのイオン、m/z 25881Brを含むブロモアントラセンのイオンです。観測されているイオンのm/z値から得られるのは、Brの同位体毎の分子の質量情報であって、分子量(257)では無い事が分かると思います。

 

イオンのm/z値から分子の質量を知るためには、イオン種が分からなくてはなりません。前述のブロモアントラセンの例ではM+だったので、電子の質量を無視すれば、m/z値は中性分子の質量と等しくなります。しかしLC/MSでは、様々な付加イオンが観測される場合が多く、付加イオンの種類を判断する方法は、このブログが参考になると思います。

MSのメーカーさんでアプリケーションを担当されている方でも、分子の質量と分子量の関係を明確に説明できる人は実は結構少ないようです。

  

尚、分子量と言う用語、最近では相対分子質量の方が推奨されています。

 

インハウスセミナーをご依頼頂くと、質量に関する事を含め、質量分析に関する正しい知識をお伝え致します。

お問合せはホームページからどうぞ

 

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少年サッカーチームの夏合宿参加! お風呂の入り方指導も重要!!

7月最後の金~日曜日(72729日)、私がコーチをしている地域の少年サッカーチーム(富士見スポーツクラブサッカー部)の夏合宿に参加して来ました(チームとしては1年~6年までいますが、合宿参加は3年生以上)。この週末は、東村山市の青少対第一地区委員会のキャンプが28, 29日で予定されており、私は第一地区事業部の役員なので、27日に合宿に行って宿泊(コーチや母達と飲み会)し、28日の朝からキャンプに行く予定にしていました。しかし、台風12号の接近に伴いキャンプが中止になったので、3日間フルで合宿に参加して来ました。

 

 

私がこのチームでコーチをするようになったのは、今は高3になった長男が小3の時ですから、もう9年程前になります。その頃の合宿地は群馬県の片品村で、宿は岩蔵スキー場や片品スキー場の近く。私は子供の頃からスキーをしていて、特に小・中学生の時はこの両スキー場がホームゲレンデだったので、懐かしいと言うか、嬉しかったのを覚えています。

 

しかし、東京から遠く、緊急時に病院が離れていると言う事で、ここ数年は茨城県古河市のスポーツ施設に変更になり、今年に至ってはその施設が予約出来なかったので、狭山市にあるJACPAグランドになりました。

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下道で1時間程で行けてしまうので、余り合宿という雰囲気にはなり難い気もしましたが。でもまぁ、これ位近く無ければ、金曜日に合宿に行って土日にキャンプに行くなどと言う予定は、そもそも立てられなかったと思いますけど...

 

さて、合宿では基礎練習に通常練習時より長めに時間を取りました。加えて、普段は余りやらないセットプレーの練習、OBによるキーパー練習、選手同士・OB vs 選手・選手 vs コーチ、などミニゲームも沢山やりました。私も、サッカー経験が無いなりに、楽しくミニゲームに参加できました。

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心配されていた台風による暴風雨の影響は運が良かったのか余り無く、3日間フルにグランドを使った練習が出来ました。また、台風の影響が良い方向に働き、それ以前の猛暑が大分おさまって、危険な暑さにはなりませんでした。いやぁ、ラッキーでしたね。雨が降ったりやんだり、時には晴れ間が出て猛烈に暑くなったと思ったら、また雲が広がって涼しくなって、と言う感じの3日間でした。合宿の大分前から、酷暑で日中練習が出来ない時のために、室内でのビデオ上映準備やストレッチメニューなどを考えていましたが、それらは使わず仕舞い。でも、結果的には良かったです。

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合宿では通常よりも長い時間まとめた練習が出来る事がとても重要ですが、私は、日常生活とは違う生活が体験できると言う面においても、合宿は子ども達にとって重要な機会だと思います。例えば宿での過ごし方。必ずしも貸し切りになる訳では無く、他の宿泊客の迷惑になる行為、また例え貸し切りになったとしても、宿のオーナーや従業員が同じ建物で生活しているケースは多く、その人達の迷惑になる行為をしないように指導するのも、コーチの役目だと思っています。保護者が同行しているとしても、保護者が言うよりコーチが言う方が子ども達は聞きますからね。

 

私が例年子ども達に対して重点的に指導している事(これは青少対キャンプでも同じですが)は、お風呂の入り方です。今の子ども達って、ホントに(自宅以外での)お風呂の入り方を知りません。

湯船に入る前に頭髪や身体を洗う。

お風呂から出る時は手ぬぐいを絞って身体の水気を拭き取る。

最初の事は、言わなくてもやる子は結構います。しかし、二番目の事を出来る子は殆どいません。そもそも、手ぬぐいを持ってお風呂に入ると言う事を知らない子が非常に多い。湯船から上がって、身体がびちゃびちゃのままで脱衣所に出ようとする子ども達の多い事(>_<)

今回の合宿では、初日の夜にお風呂番を自ら志願して担当、子ども達全員にお風呂の入り方指導をしました。約1時間、お風呂の中で子ども達と楽しく格闘しました♪ 手ぬぐいを持たずにお風呂に来た子には、部屋まで取りに行かせました! 身体がびちゃびちゃのまま脱衣所に出れば、バスマットや床が濡れてしまう。あとからお風呂を使う人が、それをどの様に感じるか。回りの人に気付かう心を育む。これはサッカーにも通じる事です。

2日目は若いコーチにやって貰いましたが、残念ながら不十分でした。来年は、若いコーチに対して、お風呂の入り方の指導の仕方を指導する必要がありそうです。

 

23日という短い期間でしたが、サッカー面でも生活面でも非日常を経験し、子ども達は成長できたかなぁ...(^o^)

 

 

 

核磁気共鳴装置で使う化学反応観測用マイクロチップ開発

最近、LC/MS専門書の執筆に関連して、化学反応を幾つか勉強し直しました。その中にWittig反応とGrignard反応があり、前職で開発した製品の事を思い出しました。

 

前職である日本電子㈱在職中、MCPTと言う国プロに参加して、マイクロ化学チップと機器分析装置との融合に関する研究を約4年間行っていました。その時の研究内容については、だいぶ前にアメブロに書いています。

 

この国プロ期間の最後に、NMRの超伝導マグネットの中で使う化学反応用のマイクロチップを開発し、それが日本電子で製品化されました。特許も取得し、今でも多少特許使用料が入って来ます。この技術、当時NMRのアプリケーションを担当していた人達とMICCS-NMRと名付け、MS屋でありながら、一時期は随分とNMRの仕事をしていました。それはそれで、とても楽しかった記憶があります。

 

これは、MICCS-NMRの関連で書いた最初の論文です。

MICCS-NMR_Wittig

 

有機合成の研究者の方達とも共同研究をしていました。化学反応の様子をリアルタイムにNMRで観測出来る技術と言う事で、他に同様な技術が無かったために、非常にニッチでありニーズの数自体は少なかったですが、興味を示す人は多かったですね。

 

このMICCS-NMRという製品、今でも日本電子で扱っていますので、興味ある人は日本電子のNMR関係者に問い合わせて下さい。私にご連絡頂いても大丈夫です

 

 

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2018年7月走距離

2018年7月の走距離は、200 kmに届きませんでした!

走距離_201807

 

この時期は毎年そうですが、5月の野辺山と6月のオクム、二つのウルトラマラソンが終わった後なので、

モチベーションがガクンと下がって、走距離がかなり減ります。特に今年は、7月の週末はサッカーに時間を

割こうと決めていたので、1日にトライアスロンチームのラン練習で30 km走った以外、週末はほとんど走り

ませんでした。

 

次の参加予定のマラソン大会は、9月30日の榛名湖フル。別に記録を狙っている訳ではありませんが、

アップダウンのキツイ好きな(初参加なので多分ですが)コースなので、特に上りでは余りズルズルにならない

ように、今月後半あたりから気持ちを上げていこうと思います(^_^)/

 

会社設立8周年! 今が踏ん張りどころ!!

今週で、エムエス・ソリューションズ株式会社を設立して8周年を迎え、9年目に突入します。最初の数年は、色々な方のご紹介で沢山のお仕事を頂いていましたが、ここ数年は、ホームページ等を見たお客様からの新規のご依頼が中心になり、収入の額こそ減りましたが、何とかこらえています。また、2007年の1月には、元富士フィルムファインケミカルズの清水を新たに取締役に迎えて、LC/MS用オンライン脱塩チューブ(ソルナックチューブ)の開発と販売をスタートしました。しかし、期待した程の売り上げが出ず、先月で清水は退職しまた1人ボッチの会社に戻りました。1人と2人では、固定費の額が全然違うので、それを従来の売り上げだけで賄う事が出来なかったためです。清水は退職しましたが、違う形で関係は続いており、ソルナックチューブの開発・販売も従来通り行っていきます。ソルナックチューブは、LCMSの間に接続するだけで、従来のLC/MSでは使えなかった不揮発性緩衝液の使用を可能にする、今までにない全く新しい技術(製品)です。条件によっては、無償のサンプル提供も可能ですので、是非一度試して頂きたいと思います。

 

さて会社の状況ですが、この4月からは特に売り上げが少なく、ここ4ヶ月程自分の給料を支払えていません(>_<) 質量分析というニッチな業界で、しかも1人でコンサルティングと言うこの業界では初めての仕事にチャレンジしていますから、良い時もあれば悪い時もあるのは当然だと思っています。質量分析の中で特に難しいLC/MSに関して、高い専門知識や経験に関するアウトソーシングを提供すると言う発想自体は、決して悪いものではないと信じています。実際、お手伝いしたお客様のLC/MS技術は確実に向上しています。まだまだ、LC/MS現場で困っている人は多いと思うので、これからもLC/MSに関して役に立つ仕事を継続していきます。

 

 

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2018年度横浜市立大学における質量分析の講義&実習、全て終了

今年度も4月から始まった横浜市立大学での質量分析講義&実習、週に1回出向いていまし
たが、7月の末で全て終了。先日レポートの採点も終えました。今年は、良く書けているレ
ポートとそうでない(ダメダメな)レポートとの差が大きかったような気が...
先ずはボリューム。感想以外では3~4つの課題を出すのですが、多い学生は各課題に対し
て1ページ以上、データも添付して10ページ程度のレポートがある一方、少ない学生は各
課題1行、全体で1ページに満たないというのがありました。殆どは「〇〇について考察せ
よ」と言う内容の記述式なのですが、それで1行って言うのは有り得ないと思うのですが
...
次は内容。色々書いてくれて、読んでいて面白いものもありますが、“これは理系の3年生
としてどうよ!?”と思った1例が、質量数に“約”を付けたレポートがあったこと!
「質量数約12の炭素」や「質量数約14の窒素」と言う具合です。質量分析に関する講義&
実習なので、質量に関する定義は特に重要視します。質量数は、原子中の陽子の数と中性
子の数の和ですから、必ず整数になります。“約”を付けたのは、“質量”と“質量数”を混同し
ていたのだと思いますが、有り得ないですよね...(&gt;_&lt;)
私はこの講義&実習だけを担当する非常勤講師として横市大に行っているので、レポート
に対するフォローが出来ないのが残念です。レポートに対する私の意見(評価)が聞きた
い人は、レポートにメールアドレスを書いておけばメールで伝える旨、毎回話すのですが
、まぁ多くて1年に1人ですね! 今回1人居たのでメールしたら、受信されずにエラーで
帰って来ちゃったし...
前のブログに書きましたが、この講義&実習は、6つのグループを3つに分けて行っていま
す。各グループの最初に講義を行うのですが、そこでアドラー心理学の話しを少しだけす
るようにしています。課題の分離と意識付けの話しを、ほんの少しだけですが...
質量分析と言うニッチな課題に対して学生達がどの様に取り組むか!
質量分析は非常に重要な学問なので、興味をもってくれるように内容を考えて講義で話し
ますが、それはそれとして、質量分析に興味をもって取り組むか、「このオジサン何云っ
てんだか!」などと思って右から左に聞き流すか、それは私にはコントロール出来ない事
です。
学生自らの意思で、色々な事に興味をもって取り組んで欲しいと思っての事ですが、中々
伝わらないみたいです。学生達が意欲的に取り組む様に、毎年少しずつ工夫していますが、

来年もまた考えよう。

 

大学や企業での質量分析講義のご依頼、いつでも受け付けています。

 

 

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質量分析屋のブログでは小平市を拠点とする日々の活動やお役立ち情報をご紹介しております

東京都小平市にあるエムエス・ソリューションズ株式会社のブログでは、企業様や研究機関における技術指導やセミナーなど日々の活動のご紹介をはじめ、大学での講義の模様などもご案内しております。
当社がどのようなサービスをご提供しているか検討材料にしていただけるのはもちろん、質量分析の最新情報やノウハウなどもご紹介しておりますのでぜひご参考になさってください。
東京都小平市のエムエス・ソリューションズ株式会社のブログではトライアスロンやマラソンを趣味とする代表のエピソードなどもご紹介しております。技術指導やご相談を承る代表の人柄なども垣間見られるブログとなっておりますので、ぜひ判断材料の1つにお役立ていただき、初めての方もお気軽にお問い合わせください。