2018年11月

古巣日本電子のMSユーザーズミーティング参加

今月(11月)は、以前勤めていた日本電子のMSユーザーズミーティングがありました。協力企業と言う位置づけで、昨年からカタログ展示とショートプレゼンをさせて頂いています。東京会場と大阪会場、東京の時は都合悪くて行けなかったので、大阪へ行ってきました。ソルナックチューブと会社パンフレットの展示をしてきました。1115日の事です。いやぁ~、この週はバタバタでした...(^_^;

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9月から週初めの2日間は浜松医科大へ研究サポートの仕事で行っているのですが、この週は木曜日に大阪へ行くと言う事で、浜松での仕事を3日間(1214)に増やし、14日夜浜松駅発の夜行バスで大阪へ向かい、15日早朝着(カプセルホテルでの入浴券セットのオプション付き)で、そのままユーザーズミーティング対応。日本電子在職中に比較的仲良くしていた開発やフィールドエンジニアの人達と遅くまで打ち上げして、そのまま夜行バスで16日朝に帰京。午後品川で打ち合わせの予定があったので、午前中都内で時間潰しを兼ねて、技術指導のご依頼を何度か頂き且つメール会員になってくれているお客様のところへ、勉強会講師として訪問。こちらからの提案だったので、費用は頂きませんでした。1時間半程でしたが、日常業務でのご質問に答えたり、マススペクトル解析に関する勉強ネタを提供したり、とても喜んで頂きました。

 

夜行バスでの移動って体力的にキツイですが、普段から走り込んでいるので何とかなりました。経費削減に有効ですし。

 

仕事は体力だ!

 

こんな状況の時は、ウルトラマラソンやっていて良かったって思います。多少の事ではへこたれません!

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
代表取締役 髙橋 豊
E-mail: tyutaka@ms-solutions.jp
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ESI-MS装置のイオン取込細孔の目詰まり

9月から毎週通って研究サポートをしているお客様のところでESI-MS装置を使おうとした時の事、いつもの様に装置の電源を入れてシグナルが観測出来る状態にしたにも関わらず、シグナルが全く観測されない。

 

各部の電圧は出ているし、温度は上がっているし、ガスも流れているし...

 

この装置は、私以外にも複数の人が日常的に使っているので、昨日は問題無かったのかなぁと思いつつ...

こんな時は、取り敢えずイオン源を開けて、イオン取込細孔を洗うようにしています。イオン取込細孔とは、大気圧で生成したイオンが真空領域に侵入する時に最初に通過する部品で、コーン、オリフィス、Heated CapillaryTransfer Tubeなどと呼ばれています。

 

この時使っていた装置では、コーンと言う名称で呼ばれています。で、コーンを洗おうと思って取り外したら、なんと、かなり大きな繊維状のゴミが細孔を完全に塞いでいました。LC-MSを使ってきましたが、こんなに大きなゴミが詰まっているのは初めてみました。写真だと分かり難いと思いますが、本来なら円錐の先端に孔が空いているのが見えます。

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シグナルが見えない、感度がちょっと悪いなど、“何かおかしいな”と思ったら、先ずはイオン取込細孔を見てみる(洗ってみる)。やっぱり常套手段として最適だと思います。

 

 

 

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ワラーチや裸足で走る事で足本来の機能を取り戻す

私は学生時代に自転車競技をやっていて、30歳を過ぎた頃にトライアスロンをやって見たいと思い、ランニングを始めました。佐渡のロングディスタンストライアスロンに7回程出場して全て完走し、ウルトラマラソンの世界に飛び込みました。

 

野辺山100 kmウルトラマラソンに参加し始めて今年で7年目ですが、その間膝や足首などの関節を痛める事が何度もありました。

 

元々偏平足気味だった事もあり、長い間シューズのクッション性に頼った走り方をしてきましたが、ここ2年程よく一緒に走る友人がワラーチを履いていて、私も昨年からワラーチランを少しずつ取り入れてきました。薄っぺらいゴム板に紐を通しただけのモノなので、シューズに比べるとクッション性は皆無と言って良いです。そして、足には縦に2つ横に1つのアーチ構造があり、本来足はそれらのアーチで着地の衝撃を吸収して走る事が出来る機能をもっているのです。

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しかし、現代人はクッション性の高いシューズを履く事で足本来の機能を失い、私の様に偏平足気味の人が増えているのだと思います。ワラーチを履いて走ってみて思った事は、足裏のアーチをクッションにして走らなければならないため、アーチを使える場所で着地をする必要がある事と、着地をソフトにする必要があると言う事です。特に私のような偏平足気味な場合、特に着地はソフトで丁寧に行う必要があります。

 

私は、シューズに頼ってなまけ癖がついてしまった自分の足に、本来の機能を取り戻すキッカケになればと、ワラーチで走り始めました。しかし、この記事で書いた様に、慣れる前にイキナリ長い距離を走ると、色々と関節等に負担がかかるので、徐々に慣らしていく事が大切です。慣れる前に長い距離を走って負担をかけすぎると、足本来の機能が復活する前に怪我をする原因になります。

 

 

ワラーチで走る事にある程度慣れてくると、更にソフトな着地を意識するために裸足で走る人達がいる事を知りました。私も少しずつ裸足ランも取り入れるようになり、ここ2ヶ月程は、例えば10 kmをワラーチで走る時に12 km程裸足で走るようにしています。裸足で走る時は、本当に注意深くソフトに着地しないと足首に衝撃がはしります。裸足で暫く走った後にワラーチを履くと、薄っぺらいワラーチでもクッション性がある事に気付きます。

次の二つのリンクは、ワラーチベアフットシューズでのランニングについて書かれているブログです。

 

裸足で走る時は、シューズを履いている時のような雑な走り方は出来ません。接地の仕方は、足裏全体でソフトに! 決して踵接地にならないように注意します。爪先だけ接地させるような走り方では、脹脛の筋肉に負担がかかり過ぎるので、とにかく足裏全体でソフトに! を心掛けています。そして、接地する時の腰に対する足の位置も、裸足で走る時は自然に気を付けるようになります。足が前に出た状態で接地すると、ブレーキがかかるようになって足裏が擦れるので、痛いのです。腰の下で接地する癖がつきます。さらに、足が離れる時に後ろに蹴る動作をすると、やはり足裏が擦れるので、蹴らずに腰を前に移動させる動作が必要になります。

 

ワラーチ&裸足で走るようになってから、何となくですが、偏平足が改善されてきたような気がします。

 

 

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新規LC/MSイオン化法”軟X線重畳ESI”の追加データ_N-butylbenzene sulfonamideの例

エムエス・ソリューションズで開発中の軟X線重畳ESIは、ESIで生成した帯電液滴に軟X線を重畳照射する事で、ESIでイオン化し難い化合物のイオン化が促進されるという新規LC/MSイオン化法です。

 

今年の質量分析総合討論会で発表したポスターをホームページに掲載しています。今のところ、カルボニル基を有する低極性化合物に効果が認められています。何れも、ESIではイオン化し難い化合物です。一方、ペプチドや医薬品など、ESIでイオン化し易い化合物に対しては、今までの実験では、軟X線を重畳照射しても顕著な感度向上は見られませんでした。

 

しかし、最近の実験中に、ESIでバックグランドとして観測されるN-butylbenzen sulfonamideC10H15NO2S、モノアイソトピック質量213.082352)の[M+H]+が、軟X線重畳によって強度が増加している事に気付きました。この化合物、由来はよく分かりませんが、ESIイオン化によるLC/MSにおいて、正負両イオン極性で頻繁に観測されます。この例では、[M+H]+[M+Na]+ の合算強度において、ESI+軟X線はESIのみよりも約4倍増加しています。

N-butylbenzene sulfonamide

N-butylbenzen sulfonamide

 

マススペクトル_N-butylbenzene sulfonamide 

 

また、軟X線重畳ESIの特長として、ESIでは[M+Na]+ 強度が高い状況において、軟X線を重畳照射すると[M+Na]+ 強度が相対的に減少して、[M+H]+ 強度が増加する傾向が見られます。軟X線照射だけで効率よくイオン化する化合物は余り無く、ESIに重畳照射する事で種々の化合物に対してイオン化効率の向上が確認されています。

 

このイオン源は労働安全衛生法が適用されるので設置する前に届け出が必要ですが、興味ある方はご連絡下さい。

 

 

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マススペクトルを得るための測定モードは必ずしもスキャンではない!

今回から、質量分析計本体について、色々と書いてみたいと思います。

 

現在最も普及している質量分析計は、GC/MS, LC/MS, その他全て合わせても、四重極質量分析計(quadrupole mass spectrometer, Q-MS)でしょう。Q-MSの動作原理は、様々な書籍で紹介されているのでご存知の方が多いと思いますが、簡単に解説します。

1Q-MSの概念図、図2に質量(m/z)分離の原理を示します。

 

QMS概念図-2

図1 Q-MSの概念図

 

QMS原理

図2 Q-MSにおけるm/z分離の原理

 

1に示すように、4本の電極のそれぞれ対角線の対の2電極に対して同極性の直流電圧と高周波電圧を印可し、周期的に極性を変化させることで、イオンは4本の電極内に閉じ込められ、イオン源から検出器までを振動しながら飛行します。図2に示されている三角形様の図は、安定領域と言って、直流電圧と高周波電圧の大きさにおいて、どの位の電圧の時にどの大きさのm/zのイオンが安定に四重極内に存在出来るかを示しています。安定振動領域にあるイオンは検出器へ到達し、安定振動領域にないイオンは途中で四重極外へ排出されます。また図2に示すように、直流電圧と高周波電圧の比が一定になるように電圧を変化させることで、イオンのm/z を分離する事が出来ます。

ここで、図2に示した両電圧を、走査直線上に小さな電圧から大きな電圧に連続的に変化させると、小さなm/zのイオンから順番に四重極を通過して検出器に到達し、マススペクトルが得られます。電圧を連続的に変化させる事を走査(スキャン)と言います。

一方、GC/MSLC/MSで定量分析を行う場合、選択イオンモニタリング(selected ion monitoring, SIM)と言う測定法が用いられます。これは、特定のm/z値のイオンだけ四重極を通過させる測定法なので、図2に示した両電圧変化は段階的(不連続的)に行われます。

LC-MSに飛行時間質量分析計(time of flight mass spectrometer, TOF-MS)が用いられるようになる前までは、Q-MSの他にもイオントラップ質量分析計(ion trap mass spectrometer, IT-MS)や磁場形質量分析計(sector-MS)など、マススペクトルを得るためには電圧走査(スキャン)を行っていたため、今もその名残で、質量分析計の原理に関係なく、マススペクトルを得る測定モードを“スキャン”と言ってしまう人を見かけます。TOF-MSでは、パルス的に飛び出したイオンが検出器に到達するまでの時間によってイオンのm/zを分離するため、マススペクトルを得るために電圧走査(スキャン)を行いません。

先日、質量分析関連のイベントに参加した時、あるメーカーのアプリ担当(結構なベテラン)の方が、TOF-MSに対してスキャンと言う言葉を使っていました。とても残念に思いました。

Q-MS, IT-MS, sector-MSは、マススペクトルを得るために電圧走査(スキャン)をしますが、TOF-MSやフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(Fourier transform ion cyclotron resonance mass spectrometer. FTICR-MS)は、マススペクトルを得るために電圧走査を伴いません。

スキャン⇔SIMと言う概念が存在しない質量分析計もあるので、マススペクトルを得るため測定モードを安易にスキャンと言うのは避けた方が良いです。特にメーカーの方には、専門家として、原理や理論に基づいた正しい言葉を使うように気を付けて頂きたいです。

 

 

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LC/MSコンサルティングサービスをご利用頂いているお客様の状況

ホームページのお客様の声に最初に投稿してくれた方、今までに現場でのLC/MSコンサルティング(技術指導)を2回実施した他、メール相談会員にもなって頂いているので、概ね週に1回程度のメール相談を受けています。この方が最近とても分析技術や知識レベルが上がっていると実感できており、関わっている者として大変嬉しいです。

 

この方の上司の方から最初にコンサルティングに関するご連絡があってから、実際に最初のご依頼があるまでに約1年かかりました。その間、何度も見積を作り直し、会社にも2~3回伺って打ち合わせをしました。

 

この仕事を始めて感じている事は、“質量分析コンサルティング”と言う外部委託業務に対してお金を払う文化が、日本の多くの企業には無いと言う事です。企業が外部にしかも個人に業務を委託する代表例と言えば、税理士や会計士、経営コンサルタントなどだと思います。一方、質量分析に係るコンサルティングというものは私が始めるまでは国内では誰もやっていなかったし、メーカーの納入後のトレーニングを受ければ誰でも分析できるようになるだろうと言う、現場にいない会社上層部の誤解があるようです。

 

この方が勤める会社でも同様な状況なようで、“上の理解がなかなか得られない”としきりに仰っていました。それでも、最初のコンサルティングのご依頼の後、メール相談も併用されて、エムエス・ソリューションズのサービスを上手に活用して頂いています。そして、最初にも書いた通り、担当者のレベルは確実に向上しています。

 

様々な業界において、企業内に“開発”と“分析”のグループがある場合、開発が優先されると言う状況が起こり易いです。予算的にも、開発には沢山付けられるのに分析に回る予算はカットされる、と言う事は多くの企業で起こっています。それはそれで仕方のない事だと思います。しかし、分析の結果を開発にフィードバックする事で会社全体の仕事は回るので、分析が正しく出来ていなければ、開発に間違った情報を伝える事にもなりかねません。分析は正に“縁の下の力持ち”、特に質量分析は“イオン化”と言う現象が絡むので、非常に難しい分析技術になります。

 

試料前処理からデータ解析まで、質量分析に適した知識と技術、経験が必要です。これからも、現場での正しい質量分析を支える存在でありたいと思います。

 

それにしても依頼が少ない...

今週も、どこかで一日日雇いバイト入れないと...

 

 

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