2019年8月01日

負イオン検出LC/MSで観測されるバックグランドイオン

大分前の事になりますが、LC/MSで観測される可塑剤由来のバックグランドイオンについて記事を書きました。

これは、正イオン検出で観測されるイオンです。

 

一方、負イオン検出のLC/MSでも、既知化合物由来のイオンがバックグランドとして観測される事があります。

負イオン検出のESIやAPCIで、m/z 255や283のイオンを見た事はないでしょうか?

前者はパルミチン酸(C16H32O2、モノアイソトピック質量256.240234 Da)、後者はステアリン酸(C18H36O2、モノアイソトピック質量284.271515 Da)の[M-H]-です。

それぞれの[M-H]-の精密質量は、255.23293、283.26422となります。

 

これらのバックグランドイオンは、移動相溶媒(有機溶媒側)にメタノールを使った時に観測され易いようです。

個人的な推測ですが、メタノールに(HPLCグレードやLC/MSグレードにおいても)僅かに含まれているのではないかと考えています。

 

LC/MSで観測されるバックグランドイオンは敬遠される傾向がありますが、私個人としては、強度がそれ程高くなければ、安定して観測されるバックグランドイオンはむしろ歓迎します。

質量分析計の質量校正が正しく行われているか否かの指標になるし、TOF-MSのロックマスとしても使えるからです。

 

先日LC/MSのコンサルティングで伺った研究機関の担当の方は、LC-QTOF-MSを使っていて、以前はロックマスを使っていなかったのですが、私が書いた可塑剤由来のバックグランドイオンの記事を読んで、そのイオンをロックマスとして使ったところ、観測されるイオンのm/z値の確度が各段に上がったそうです。上記の脂肪酸由来のイオンも、安定して観測されていればTOF-MSのロックマスとして有用だと思います。

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
代表取締役 髙橋 豊
E-mail: tyutaka@ms-solutions.jp
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