2020年3月

ESIにおける脱溶媒温度変化に伴うスペクトル変化を利用した分子質量推定法

十数年ぶりに自分で論文を書きました。日本語ですが。

別刷りご希望の方、お知らせ頂ければお送り致します。

ESIにおける脱溶媒温度変化に伴うスペクトル変化を利用した分子質量推定法

 

正直言って余り実用的ではありませんが、マススペクトルの解釈と言うか現象的には面白いと思います。

ご興味ある方、是非読んでみて下さい。近々、JSTAGEにもアップされると思います。

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
代表取締役 髙橋 豊
E-mail: tyutaka@ms-solutions.jp
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LC-MSにおけるイオン導入細孔の電圧設定とマススペクトルパターンについて

少し前に、LC-MSに用いられているESIやAPCIのイオン源において、イオン取導入細孔の電圧設定について解説する記事を書きました。

今回は、”この電圧を変えると具体的にどうなるか?”を具体例を挙げて解説したいと思います。

 

Waters社のSYNAPT G2-Sを用いて、ペプチドの一種であるロイシン・エンケファリン(C28H37N5O7、モノアイソトピック質量 555.2693)を測定した例です。正イオン検出のESIで測定すると、溶媒条件によっても異なりますが、m/z 556([M+H]+)が主に検出されます。イオン導入細孔(cone)電圧を30 V, 50 V, 70 Vに設定した時のマススペクトルを図1に示します。

ロイシンエンケファリン_cone電圧

図1 イオン導入細孔(cone)電圧と[M+H]+強度、マススペクトルパターンの関係

 

m/z 556イオン強度は、cone電圧を30 Vに設定した時に最高値を示しました。データには示していませんが、これより低い電圧では、同イオン強度も低い値を示しました。そして、30 Vよりも高い値(50 V, 70 V)に設定すると、 m/z 556イオンよりも小さな m/z 領域にイオンが観測されるようになりました。これらは、 m/z 556イオンが断片化して生成したフラグメントイオンです。この現象は、In-source CIDと呼ばれています。CIDは、collision-induced dissociationの略で、日本語では衝突誘起解離と言います。イオンがHeやN2などの不活性ガスと衝突する事で、内部エネルギーが上昇して断片化を起こす現象です。ESIのイオン源の一例を図2に示します。

ESIソース

図2 ESIのイオン源の例

 

イオン導入細孔に印加する電圧は、その後段にイオンを送り込む役割を果たしますが、この電圧を高く設定すると、残存している空気(主にN2)分子と衝突して、CIDが起こります。フラグメントイオンが生成する事で、元のイオン(プリカーサーイオン)の構造情報を得る事が出来ますが、プリカーサーイオンの強度は低下してしまうため、分析の目的に応じて、この電圧は最適値に設定する必要があります。多くのエンドユーザーの方は、この電圧をデフォルト値で使用する事が多いと思いますが、このようにイオン強度やスペクトルパターンに影響を与えるパラメーターである事を認識して使用して頂くと良いと思います。

 

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新型コロナウィルス感染拡大防止策について

新型コロナウィルス感染症拡大防止のための政府からのイベント自粛要請に伴って、様々なイベントが中止になっています。

安倍首相は、大規模なイベントについてさらに10日間の自粛要請を発表しました。

 

しかし、このブロガーかさこさんの記事でも触れていますが、なぜ規模で判断するのか疑問です。

 

新型コロナウィルス感染症についてまとめられている、この総説では、

日本国内ではバス、屋形船、ライブハウス、スポーツジムといった「換気の悪い閉鎖空間」での集団感染が報告されている。」

と書かれていて、実際ニュースでも、これらの施設での感染が報道されています。

 

私の仕事に関係する事では、つい先ほどお知らせに挙げましたが、来週予定されていたLC/MS定量分析セミナーが延期になりました。セミナーは、まさに換気の悪い閉鎖空間で行われるので、この延期は妥当な判断だと思います。

 

マラソン大会も続々と中止が決まっており、私がエントリーしている桃の里マラソン(4/5予定)と、野辺山ウルトラマラソン(5/17予定)でも、中止の可能性があることがホームページに掲載されています。マラソンが行われる環境は、決して「換気の悪い閉鎖空間」ではありません。スタート地点こそ選手が密集しますが、そこではマスクをするなどの対策をすれば良い訳で、イベントの主催者は、医学的・科学的根拠に基づいた情報を元に、冷静に開催するか否かの判断をして頂きたいと思います。

 

私は医学の知識はありませんが、科学者の端くれとして、新型コロナウィルス感染症拡大に対して、マラソン大会開催は寄与しないと考えています。

 

画像は一昨年の野辺山ウルトラマラソンのゴールでの写真です。今年も走りたい!!

 

 

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トリエチルアミンを添加した移動相条件におけるLC/MS分析

極性が高い核酸及び核酸塩基を逆相分配クロマトグラフィーにより分析する際、イオン種を溶離液中に添加する ことでイオン結合により中性のイオン対を形成して保持を向上させることがあります。核酸分析の場合は、イオン対形成用の塩基性移動相としてトリエチルアミン(TEA)、酸性移動相として1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパ ノール(HFIP)を用いることが一般的です。しかし、TEAは塩基性度が高すぎるために、正イオンで検出する場合、 イオン化抑制を起こすと考えられます。核酸はリン酸基を有するためにLC/MSではNegative-ESIの使用が一般的ですが、Positive-ESIでも検出する事が可能です。試料として核酸塩基のアデニル酸(AMP), アデノシン二リン酸 (ADP), アデノシン三リン酸(ATP)を使用して、ソルナックチューブで溶離液中のTEAを除去して正イオン測定 を行った例を紹介します。

 

TEA_核酸塩基

 

 

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