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LC/MS用オンライン脱塩チューブ“ソルナック”を用いたリン酸塩緩衝液条件でのサルファ剤の分析

エムエス・ソリューションズで開発している、LC/MS用オンライン脱塩チューブ“ソルナックチューブ”は、従来LC/MSに使えなかったリン酸塩緩衝液を、チューブ1本で使用可能にする、オリジナルの新技術です。今回は、リン酸塩緩衝液を使ったサルファ剤のLC/MS分析例をご紹介します。

 

1は、ソルナックチューブを接続したLC-MSの構成図です。LCMSの間にソルナックチューブ(内径1 mm、外径1/16インチ)を接続するだけです。

 

ソルナックチューブLCMS構成図

1 ソルナックチューブを用いたLC-MS構成図

 

サルファ剤とは、スルファミンを母体とした一群の化学療法剤の総称です。動物用医薬品として用いられています。資生堂㈱のアプリケーションデータにリン酸塩緩衝液を用いた例が掲載されていたので、それを参考に溶離液条件を検討しました。今回は、図2に示す4種類のサルファ剤を用いました。

 

無題 

2 4種類のサルファ剤の構造

 

サルファ剤分析条件 

UVクロマトグラム、抽出イオンクロマトグラム、マススペクトルを図3に示します。ソルナックチューブCFANの中には、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂が充填されており、溶離液に含まれるリン酸塩は、一定量イオン交換樹脂に吸着されるため、MSには導入されません。一方分析種であるサルファ剤は、構造によってイオン交換樹脂との相互作用が異なりますが、ソルナックチューブを通過し、各成分がEICで観測されています。③スルファモノメトキシンは、他の3成分よりEICピークがブロードニングしており、イオン交換樹脂と比較的強く相互作用している事が分かります。①、②、④のEICについても若干のテーリングが見られますが、これはソルナックチューブの内部容量による影響です。

 

サルファ剤のデータ

3 ソルナックチューブCFANを用いたサルファ剤のLC/MSデータ

 

ソルナックチューブCFANを用いる事で、LC/MSでは従来用いる事が出来なかったリン酸塩緩衝液条件でのオンラインLC/MS分析が可能になりました。

 

ソルナックチューブに関するお問合せは、ホームページのお問合せからお願いします。

 

 

 

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第2回LC/MS分析士二段試験問題解説書

日本分析化学会が毎年行っているLCおよびLC/MS分析士試験。初段~五段までがあり、初段~三段はマークシート形式の筆記試験です。LCおよびLC/MSの初段から三段まで、各3回分の試験問題の解説書を、分析化学会から出版する予定であり、最近第2回目のLC/MS分析士二段試験問題の解説書が出版されました。50問分の解説のうち、私は7問分を執筆しました。LC/MS分析士試験を受験する人の勉強用としては勿論ですが、参考書としても良い本だと思います。

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エレクトロスプレーイオン化の基礎:イオン源の変遷その2

以前の投稿で、日本に初めてエレクトロスプレーのイオン源(ESイオン源)が入ってきた頃の事を書きました。初期のESイオン源は、とてもじゃないけどLC/MSに使えるような代物ではありませんでした。図1に初期のESイオン源を示します。

 

 初期のESイオン源

1 初期のESイオン源

 

ESILC/MSのイオン化法として汎用的に用いられるようになったのは、①大量の液体を帯電液滴にする、②帯電液滴の脱溶媒効率を向上させる、③大気圧で生成したイオンをロスなく質量分離部まで運ぶ、の3つの技術開発に依ると思います。

 

①を可能にしたのが“空圧ネブライザー”です。以前の投稿で書いた様に、図1に示した初期のESイオン源では、導入できる液体流量は5 µL/min程度以下でしたから、直結できるLCはミクロLCだけでした。しかし、当時は、現在のようにナノLCやミクロLCは普及していなかったため、ESILC/MSのイオン化として普及させるためには、汎用LC(内径4.6 mmカラム、移動相流量1 mL/min)との直結が必要でした。

 静電的な作用のみでは帯電液滴に出来ない大量の液体を如何に液滴にするか?

その技術開発に、各メーカーがしのぎを削っていた時期がありました。加熱ネブライザー、超音波ネブライザーなど、様々な技術が開発されては消え、最終的に現在の空圧ネブライザー即ちガスの圧力によって液滴を生成させる方法に落ち着きました。

 

②帯電液滴の脱溶媒も非常に重要でした。液体流量が5 µL/minの時と1 mL/minの時では、当然ですが液滴のサイズと溶媒量が大きく異なりますので、空圧ネブライザーによって生成した帯電液滴を乾燥させるためには、強力な加熱デバイスとの組み合わせが必要でした。加熱チャンバー、加熱したガスを吹き付けるなど、こちらも様々な方法が開発され、現在でもメーカーや機種に依って異なる方法が用いられています。

 

③大気圧で生成したイオンをロスなく質量分離部まで運ぶ事を可能にしたのは、“高周波電圧を使うデバイス”の開発に依るところが大きいと思います。イオンガイドやイオンファンネルなどの高周波デバイスは、差動排気の中段、真空度がまだ高くない領域に配置され、イオンを進行方向に殆ど加速させることなく、高周波電圧によってイオンを収束させながら次のステージに導くことが出来る技術です。これら高周波デバイスが搭載されたESイオン源を初めて使った時の感動は、今でもはっきり覚えています。

 

当時の日本電子では、大型のSector-MSFrit-FABESIなどを装着してLC/MSを行っていました。私も、AB社が開発した初期のESイオン源を使った事があります。検出されるイオンの様子はオシロスコープで確認するのですが、イオン生成が非常に不安定で強度も低く、プロファイルが形になりませんでした。

 

加えて、地味だけど忘れてはならない改良点は、ネブライザーの方向とイオンの取り込み方向を直交あるいは軸ずらしにした事です。初期のESイオン源や、今でもナノESIではそうですが、スプレイヤーとイオン取込孔が同一軸上に配置されています。液体導入量が少なく、静電的な作用のみで帯電液滴が生成する場合、液滴のサイズが小さく電荷密度が高いため、この配置でも実用上問題ありません。しかし、空圧ネブライザーによって生成する帯電液滴は、サイズが大きく且つ電荷密度が低いため、スプレーの中心部分は脱溶媒仕切れない液滴や電荷をもたない中性粒子が大量に存在します。そのような状況でスプレイヤーとイオン取込孔が同一軸上に配置してしまうと、イオン以外の“余分なもの”が質量分析計内部に侵入してしまい、ノイズレベルが上がる原因になります。そのため、空圧ネブライザータイプのESイオン源では、主に直交スプレーが採用されています。

 

最近のESイオン源の一例を図2に示します。

 

空圧ネブライザータイプのESイオン源

2 空圧ネブライザータイプのESイオン源

 

空圧ネブライザー(+静電的な作用)によって生成した帯電液滴は、サイズが大きく電荷密度は低い状態です。質量分析計内部に取り込まれるのは単分子イオンのみで、それは電荷反発によってスプレーの外側に広がるため、直交スプレーは外側に存在する単分子イオンを取り込むのに有利な配置と言えます。

 

現在の空圧ネブライザータイプのESイオン源は、帯電液滴からのイオン生成の効率が悪い事が最大の弱点です。

 

Waters社が開発したUniSprayTMは、高電圧を印加しない空圧ネブライザーによって中性の液滴を生成させ、それを、高電圧を印加したターゲットピンに衝突させ、液滴を破砕させると当時に電荷を与えるため、通常のESIよりも小さくて電荷密度の高い帯電液滴を生成させることが可能です。感度、汎用性共に通常のESIを凌ぐイオン化法として、今後期待される技術です。

http://www.waters.com/waters/ja_JP/UniSpray-ion-source%2C-an-alternative-to-ESI%2C-APCI-and-APPI/nav.htm?locale=ja_JP&cid=134891755

 

また、ESIAPCIあるいはESIAPPIを組み合わせたコンビネーションによるイオン化法も、空圧ネブライザータイプのESIの弱点を補う技術と言えるでしょう。

 

我々が開発中の軟X線重畳ESIについても、ESI+APPIに近い技術ではありますが、特長のある新しいLC/MSイオン化法です。

 

今後も、ESIを基本として改良を加えたLC/MSイオン化法が開発されると考えています。

 

 

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穴見陽一のような国会議員に給料を払う事は税金の無駄遣いである!

受動喫煙対策が議論されている厚生労働委員会で、参考人として招かれた肺がん患者の方(長谷川さん)が意見を述べている最中に、自民党の穴見陽一議員がヤジを飛ばしたというニュースが、昨日から話題になっていますね。今朝の特ダネでも取り上げられていました。

 

“穴見陽一”、“ヤジ”で検索すると、ネット上に沢山本件に関する話題が出てきます。

 

委員会で招いた人が話している時に、委員会メンバーがヤジを飛ばすと言う行為は、一般常識をもつ人としてあり得ない行為だし、まして国会議員であれば一発アウトにするべきだと思います。一発アウト、即ち懲戒免職処分ですね。

 

国会の本会議で居眠りをする議員、今回含め問題行動を起こす議員や政治家は、我々国民の税金から給料が支払われていると言う意識が欠如しているのだと思います。会社等に勤めている人とは違う訳です。しっかり仕事をしていれば高い報酬をもらうのは妥当でしょう。しかし、その分問題を起こしたら一発アウト、懲戒免職! 二度と復帰できない!!

その位の緊張感をもって職務にあたって貰わないと困ります。

 

そして、そのようなクズ議員や政治家を辞めさせれば、相当税金が浮くでしょうね♪

 

政府には、消費税増税などと安易に国民から税金を巻き上げる事ばかり考えず、先ずはクズ議員や政治家を一掃してスリム化するなど、税金の無駄遣いを止めて欲しいものです。

 

 

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第66回質量分析総合討論会参加_軟X線重畳ESIに関するポスター発表

66回質量分析総合討論会が、5/15173日間、大阪のホテル阪急エキスポパークにおいて開催されました。今年はプロテオーム学会年会との共同開催であり、プロテオーム学会にも参加する場合は4日間でした。参加者は、800名を少し超えた程度だったようです。

 

私は群馬高専の卒業研究で質量分析を始めて以来、すっと質量分析学会の会員です。今の会社を設立してからは、学会への参加は費用対効果を常に考慮し、それが低いと思われる場合には参加を見合わせています。前職の時には、質量分析総合討論会、BMSコンファレンス、医用MS学会、分析化学会年会、分析化学討論会、薬学会、液体クロマトグラフィー研究懇談会(略LC懇、年に10回開催)など、大小含めて年に10回以上学会等に参加していました。今は、毎年必ず参加するのは、今回の質量分析総合討論会とLC懇に2-3回のみになっています。

 

今回の討論会では、ポスター発表を2件行いました。ここでは、その1件、初日に行った「軟X線重畳ESIによるイオン化の基礎検討」についてご紹介します。

 

X線重畳ESIとは、コンベンショナルESIで生成した帯電液滴に軟X線(平均波長帯0.25 nm)を重畳照射する新しいLC/MSイオン化法です。ESIでイオン化し難いある種の低極性化合物に対して、軟X線を重畳する事でイオン化効率の向上が認められています。図1は、軟X線重畳ESIの概念図です。

ESI+X_source

 

この技術、オリジナルは他の会社なのですが、その会社で開発を継続する予定が無いと言う事で、私の会社が協力して開発を進めています。とは言えこちらは役員2人だけの超零細企業、実験用のLC-MSを持っていませんし、開発費も無いですから、その会社のLC-MSのスケジュールが空いている時に、年に数回装置を借りて実験を継続しています。

 

討論会では、以下に示す6種類の化合物について、ESIのみ(上段)、ESI+X線(中段)、軟X線のみ(下段)の比較データを示しましたが、ここでは、1,2-benzanthraquinone, 2-methyl hexanone, progesterone3化合物のデータを示します。

ESI+X_Data_1,2-benzanthraquinone

ESI+X_Data_2-methyl cyclohexanone

ESI+X_Data_progesterone

何れの化合物においても、ESIのみ及び軟X線のみに比べて、 ESI+X線では、試料化合物の[M+H]+強度が著しく増加している事が分かります。progesteroneは特に顕著で、ESIでは全く分析種由来のイオンが観測されていませんがESI+X線(および軟X線)では、[M+H]+および[M+H+aceton]+が顕著に観測されています。現在までの実験では、>C=O以外の極性基を持たないカルボニル化合物に、ESI+X線のイオン化効率向上の効果が認められています。

 

X線光源からの光は、その性質から溶離液である水やメタノールに吸収されると考えられます。水が光を吸収して励起されたH3O+が生成し、ESIではイオン化されなかった分析種分子に対してプロトン供与する働きをしていると考えられます。

 

尚、ペプチドや多くの医薬品など、ESIのみで十分に高いイオン化効率を示す化合物群に対しては、軟X線重畳の効果はありません。また、軟X線重畳によって、ESIで生成したイオンに熱分解等の負の影響が全くでない事が確認されています。

 

どんな構造の化合物に効果があるのか、まだまだ実証実験が全く足りていません。共同研究のような形で、ある程度定期的にこのイオン源を装着してLC-MSを使わせて頂ける機関、あるいはイオン源の評価をしてくれる企業様等を探しています。

 

ご興味ある方は、ホームページのお問合せからご連絡をお願いします。

 

 

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In silicoでのMS/MSマススペクトル解析支援ツール:MS-FINDER

お客様からのご依頼で、植物など天然物由来成分(基本的には未知化合物)の構造推定をする事があります。高分解能MS/MSで得られたマススペクトル(プロダクトイオンスペクトル)を解析するのですが、その時に重宝しているのが理研で開発された“MF-FINDER”というソフトです。

 

以下のサイトからダウンロード(フリー)して、PCに保存して使用します。PCのセキュリティー環境に依っては、ダウンロード出来ない場合もあるようです。

MS-FINDER

 

このソフトは、メタボロミクス用に開発されたもので、代謝物を中心に低分子有機化合物が登録されているWebデータベースから、[M+H]+[M-H]の精密質量を元に対象となる化合物を選択、その構造から、定義された規則に基づいて予測フラグメントイオンを生成させ、それを実測のフラグメントイオンと比較し、一致度の高い化合物を教えてくれるものです。

 

以下は、アミノ酸の一種であるアルギニンのプロダクトイオンスペクトルを処理した結果です。青いスペクトルが実測、赤いスペクトルが予測です。m/z 130.0976は予測出来ていませんが、他は一致しており、アルギニンが一位でヒットしています。

MF-FINDER_Arginine

 

MS/MSは低エネルギーCIDによるものを前提としており、開裂し易い結合エネルギーの低い結合を優先的に切る仕様です。開裂に伴う水素転位やマスシフトは、かなりしっかり予測できています。

 

勿論、完全なものではありませんが(そもそもこの世に完全なものなど無い)、かなり有効なツールです。今月28日に株式会社島津製作所東京支社で開催される第324回液体クロマトグラフィー研究懇談会で、このソフトに関連する話しをします。上の例で、m/z 130.0976が予測出来ていない理由など、もっと詳しい話しをしますので、質量分析を使って低分子化合物の構造推定を行っている人など、興味ある人は是非聴きに来てください。

 

マススペクトル解析支援などのご依頼は、ホームページのお問合せからどうぞ。

 

 

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