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天然物試料のLC/MSデータ解析中

くの会社での年度末(私の会社は7月が期末)、忙しい時期ですね。私も、現在抱えている最後の大きな仕事のまとめ作業で、LC/MSデータを解析しています。解析困難な成分が見つかってしまい、現在苦戦中!

いやぁ、長い間様々な試料のLC/MSデータを眺めてきて、時には解析不能なデータに出会う事がありますが、今回のデータは最高難易度のレベルかもです。しかし、難しいデータである程、理にかなった解析が出来た時の喜びは格別。もうひと頑張りします。

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
http://www.ms-solutions.jp/
住所:〒187-0035 東京都小平市小川西町2-18-13
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チョッとレアな(?)イオン化法、イオンアタッチメントについて

以前から何度か書いていますが、質量分析計による測定の基本は、第一に化合物に適したイオン化を選択することです。

 

揮発性(加熱して気化する性質)化合物に適したイオン化として、先ずは電子イオン化(electron ionization, EI)、そしてEIでは分子イオン(分子から電子が1つ取れたイオン)が得られず、分子内の結合が切れて断片化イオン(フラグメントイオン)が観測されてしまう場合には化学イオン化(chemical ionization, CI)が有効であると解説しました。

 

通常、市販されている質量分析計で、揮発性化合物に有効なのはこの2つのイオン化法ですが、今回はそれ以外の方法として、イオンアタッチメント(ion attachment, IAを紹介します。IAは、気相分子に金属イオン(Li+)を付加させることで、フラグメントフリーのイオンが観測されるイオン化法です。

 

以前は、キャノンアネルバで事業化していましたが、数年前に止めてしまいました。キャノンアネルバはIA部分を開発しており、質量分析計に日本電子の四重極質量分析計を採用して、コラボしていました。そして、キャノンアネルバのIA-MSのアプリケーション担当者が、群馬大学工学部時代の同期の女性で、当時私は日本電子に居ましたが、同じ業界に大学の同期がいた事にとても驚きました♪

 

私自身、IAは使ったことがないのですが、イオン化としてはアンモニアを試薬ガスに使うCIに近いのかなぁと思います。CIでは、主としてイオン化した試薬ガス(試薬イオン)から気化した分析種分子にプロトンが移動してプロトン付加分子([M+H]+)が生成し、IAはリチウムイオンが気化した分析種分子に付加してリチウムイオン付加分子([M+Li]+)が生成します。CIでプロトン移動により分析種分子がイオン化するのは、試薬ガスとしてメタンやイソブタンを用いた場合であり、試薬ガスとしてアンモニアを用いた場合、分析種分子にアンモニウムイオンが付加した([M+NH4]+)が主として生成します。

・揮発性化合物に有効であること

・イオン化の際にフラグメントイオンが生成し難いこと

・付加イオンが生成すること

の3点において、IACIと共通点があります。

 

試薬イオンと分析種分子とのプロトン移動によるイオン化では、両者のプロトン親和力が重要です。試薬イオンより分析種分子の方がプロトン親和力が高ければ、分析種分子にプロトンが付加したイオンが生成しますが、逆の場合、すなわち試薬イオンより分析種分子の方がプロトン親和力が低ければ、プロトンは移動せず、分析種分子はイオン化しません。

一方、IAやアンモニアを試薬ガスとして用いるCIでは、分析種分子にLi+NH4+を受け取る性質があれば、分析種由来のイオンが生成するため、プロトン移動によるCIよりイオン化効率は高いと考えられます。

 

では、IAとアンモニアを試薬ガスとして用いるCIではどちらが良いのか?

 

イオン化法は、それぞれ相補的に使うものなので、何かをもってどちらが良いなどと比較する事に余り意味は無いと思いますが、同様な目的で使うのであればイオン化効率の高さは非常に重要でしょう。分析種分子に何かのイオンが直接付加することで分析種分子がイオンになる場合、その付加するイオンの反応性がイオン化効率において支配的である筈です。とすれば、Li+NH4+のどちらが反応性が高いか? 単分子分解でない限り、反応には相手が必要なので、この場合の反応性も相手になる分析種分子との反応性という事になり、結局は相手(分析種)次第、LC/MSにおけるESIAPCIの関係の様に、分析種の性質に応じて使い分けるという事になるのでしょうか!?

 

IAは、現状LC/MSのイオン化法としては使えない様なので私の専門からは外れますが、IAに関して研究している、飲み友達でもあるTさんが何かコメントしてくれるかな?(^o^)

 

 

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LC/MSに関する電話相談は受けていません!

昨日、西日本のとある大学でLC-MSを使っていると言う学生さんから、いきなり電話がかかって来ました。LC/MSについて教えて欲しい事があるとのこと。電話相談は特に受けていないのですが、断るのも可哀そうなので、相談に乗ってあげました。

 

何故私の所に電話してきたのかは聞きませんでしたが、ホームページを見たのでしょうね。質量分析の業界では名の通った大学でしたが、指導教官には聞けなかったのかなぁ... あるいは、そもそも聞ける人がいないのか...

 

電話して来た本人は、使っているLC-MS装置メーカーの方に電話するのと同じ感覚で、気軽に電話して来たのだと思いますが、はっきり言って全然違いますから! メーカーの方であれば、買ってくれたお客様に対するフォローの意味がありますが、私にはその人の疑問に応える義理は何もありません。

 

私の様に、個人事業主に近い立場で仕事をしていると、自分の時間を如何にしてお金に変えるかが、長く仕事をする上で非常に重要です。物品販売を主な生業としておらず、技術・知識・経験を無形のサービスとして提供していますので、正にTime in Moneyな訳です。今回電話に応対した時間、私にとっては本来お金に変えなければならなかった時間です。

 

学生さんには、“時間は有料である”という感覚は無いと思いますが、将来のために覚えて下さいね! 時間は有料です。サラリーマンの中にも、それをご存じない方は結構いますよね。相手に時間を使わせれば、本来はそれ相応の対価が発生します。自分の行動が、相手の時間(お金)を搾取していないか、考えてから行動するようにしましょう。

 

私の会社は、LC/MSに関する技術指導やコンサルティング、マススペクトル解析支援、分析代行などが主なサービス(商品)です。メールでの技術相談も有償で受けています。LC/MS用オンライン脱塩チューブ“ソルナックチューブ”の販売も行っています。何らかのお取引実績があれば、その後のメールや電話でのご相談にはアフターフォローの一環として対応します。

 

 

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LC/MSに関するコンサルティング&技術指導、新規のご依頼

以前(5年程前から約3年間)仕事を手伝っていた会社の営業の方から、最近電話がありました。その会社の製品を使っているお客様を、新しい製品紹介のために訪問したら、“最近LC-MS装置を導入したけど今一つ使えていない”という話があり、私の事を紹介してくれたそうです。“話をしてみたい”と言われたとの事で、何日か前にその営業の方と一緒に訪問してきました。

 

輸入販売を行っているとても小さな会社でした。業界では名前は通っているようですが、正直私は知りませんでした。そもそも、その業界の事に余り詳しくないので。

 

輸入している製品の品質管理などに使いたいという事でした。この会社が仕事をしている業界は勿論、それ以外でも、何らかの形で有機化合物を扱う業界では、品質管理にはHPLC(高速液体クロマトグラフィー)が主として使われています。検出器はUVか良くてもPDALC/MSが使われることは極めて稀です。UVでは検出されなくても(あるいは感度が低くても)、MSでは高感度に検出される化合物は沢山あるため、HPLCでの品質管理は問題が多い、LC/MSが必要であると、ずっと以前から思っていました。恐らく、多くのMSメーカーでも同じ様に考え、営業活動はしていたでしょう。しかし、やはり価格の面で、LC/MSはなかなかハードルが高い分析機器なのです。

 

私個人の見解としては、今回ご訪問した会社、この種の業界でこの規模の会社としては、LC/MSを導入したのは日本で初めてではないかと思います。先駆的な事をされたと、感心しています。2時間程の打ち合わせ後、LC/MSに関するコンサルティング&技術指導をお受けする方向で、必要書類のやり取りをすることになりました。

 

具体的な事はまだ書けませんが、実際にお取引が始まって先方の社長の承認が得られたら、是非紹介したいと思っています。LC/MSHPLC単体(多くはUV検出器やPDA検出器)に対してどれ程優位性があるか、多くの人(会社等)に知って貰う機会になると思います。

 

また、今回は良い仕事を紹介して貰い、その営業の方には大変感謝しています。以前一緒に仕事をしていた時に、その会社にはかなり貢献したという自負はありますが、取引が終了してから久しいので、今回仕事を紹介して貰える事は完全に想定外でした。以前の仕事を高く評価して頂いたと言う事なのだと思いますが、非常に有難いですね。

 

 

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原稿査読で著者にどこまで修正を依頼すべきか

もう20年近く前から役員に名を連ねている液体クロマトグラフィー研究懇談会(略して液クロ懇、日本分析化学会の下部組織)では、もう10年以上前から、毎年(多い時には年に2回)HPLCLC/MSに関する専門書を編集・発刊しています。執筆とその原稿の査読に関わる人の多くは、私を含めた役員達です(執筆者は外部の場合あり)。先週も、今秋~来年辺りに発刊される専門書の査読会が行われました。私は7名の執筆者の1人であり、査読会にも参加し、他の執筆者の原稿を査読しました。

 

今まで液クロ懇で編集してきた書籍達は、こちらからご覧頂けます。

 

査読で重要のポイントは以下の4点だと思います。

  1. 学術的、理論的に間違っている記述内容がないか。
  2. 日本語として成り立っていない文章はないか(文法的に問題はないか)。
  3. 読みにくい構成になっていないか。
  4. “てにをは”の使い方はおかしくないか

 

1人分の原稿を複数名の人がグループになって査読し、これらに当てはまる内容が原稿に見つかった場合、グループの代表者が著者に修正を依頼します。

 

1に関しては最も重要で、専門書に間違った記述があれば大問題なので、少なくとも現状(査読をする時点)で正しいと一般的に考えられている内容を書く必要があります。液クロ懇役員では、MS(質量分析)の専門化は少数(役員の5 %以下)なので、MSに関する記述に関しては、私が特に細かくチェックする様に心掛けています。

 

2については、口語的に文章を書いてしまうと主語が抜けてしまうなど、日常的に不特定多数の人向けの文章を書きなれていない人は、文法的に問題のある文章を書いてしまうことがあります。日本語の会話は主語がなくても成立してしまうので、口語的に文章を書く癖がついてしまっている人は、なかなかこの問題は無くならないですね。

 

3については、改行したり段落を変えたりせず、あるいは適宜図を入れるなどの工夫をせずにダラダラと長い文章を書いてしまう等、読みにくい文章構成になってしまっている原稿の事です。

 

4については2や3とも関係しますが、書いている本人は以外と気づかないことが多く、複数名で査読して修正意見を出す事が重要だと思います。

 

これら4点については、査読段階で可能な限り漏れが無い様にチェックする必要があります。

 

一方で、これらに当てはまらない内容、“間違えでは無いし特に大きな問題では無いけど、こう言う書き方の方が好きだから修正して!”みたいな、つまり個人的な好みで著者に対して修正意見を出す事は、私は著者のオリジナリティーを無視する事にもなる可能性があるので、査読者としてはやらない方が良い行為だと思っています。でも、こう言う事をやる人って、実は結構います。良いか悪いかは別にして、私は“書籍の質に問題の無い範囲であれば著者のオリジナリティーは大切にするべき”と考えています。“例え小さな文言1つであっても”です。

 

これは、今回の査読会で私の原稿に対して出てきた修正意見の一例ですが...

「帯電液滴生成のためには、試料は...に溶解する必要がある。」

から

「帯電液滴の生成には、試料は...に溶解する必要がある。」

と言う文章に修正して欲しいという依頼がありました。

 

これ、勿論修正意見が悪いとは思いませんが、私的にはどっちでも大差無いと思います。どっちに転んでも大差無い、大して重要で無い修正を要求してくる査読者って、私としてはナンセンスだと思います。私は、この様な査読意見は絶対に出しません!!

 

まぁ、“こう言う書き方もあるんだなぁ”と普段は自分では書かない文章を認識できる機会が得られるので良い面もあるのですが、“こんなのどっちでも変わらないじゃん!”とチョッとだけ頭にカチンと来る場合もあります。

 

こう言う事って、会社等の組織内でも結構起こりますよね。私も以前勤めていた会社で、私が書いた文書に対して、上司から今回と似たような指摘をされた記憶が数えきれない程あります。本人のために良かれと思った指摘が、自分の好みを相手に押し付けるだけって事も有り得ます。

 

著者のオリジナリティーを大切にする意識をもつこと

 

私は重要だと思います。

 

 

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同じ会社の違う部門からの高分解能LC/MS/MSによる構造解析支援依頼

昨年から、高分解能LC/MS/MSにより得られたデータを使った未知化合物の構造解析支援の仕事を受けている会社があり、最近になって同社の違う部門からも構造解析支援のご依頼を頂きました。

 

元々ご依頼を頂いている方がご紹介して下さり、今回の新規ご依頼に結びつきました。私の仕事を信頼して頂いていると言うことなので、大変有難いし素直に嬉しいですね。今年度は、この種の仕事のご依頼がとても多いです。これは、Q-TOFOrbitrapなど、高分解能LC/MS/MS可能な装置の性能や操作性が向上して、気軽に使えるようにはなったものの、得られたマススペクトルをどのように解析したら良いか分からないというエンドユーザーが多いことに依るのでしょう。

 

私は、30年前に群馬高専の田島研究室でマススペクトルの解析に関する研究から質量分析を始め、以来ずっとマススペクトルの解析をやっていますので、一番好きで面白いと思っている内容のご依頼です。

 

信頼できるデータを得るためのメソッド開発から、得られたマススペクトルを解析する方法まで、LC/MSに関して一貫した技術指導を行います。詳しくは、ホームページをご覧ください。

 

 

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