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質量分析との出会い

このブログでは、エレクトロスプレーイオン化を主として、LC/MSについて質量分析関連の記事を書いていますが、その前はアメブロで質量分析関連の事を色々と書いていました。

 

最近このブログを読み始めてくれた方のために、以前アメブロに書いた記事を編集して、今書いている記事と並行して投稿してみたいと思います。

先ずは、私と質量分析との出会いから。

 

私と質量分析との出会いは、約30年前に遡ります。
群馬工業高等専門学校の5年生、卒業研究で物理化学の研究室に入ったことがきっかけでした。

質量分析とは何か?
っていうのは、この記事に極簡単に書いています。
質量分析とは?

担当の田島進教授はフラグメンテーション解析の専門家で、先生の元で1年間勉強して興味を持ち、質量分析の世界に入りました。

因みにフラグメンテーションとは、質量分析計の中でイオンが開裂することで、その様式や開裂した結果できた断片化イオンの構造を解析する学問がフラグメンテーション解析です。

例えば、皆さんが(私も)好きなお酒。主成分は、エタノールです。

エタノールの分子式は、CH3CH2OHです。

質量分析計で、このエタノール分子に強力な電子線を照射すると、分子から電子が一つはじき飛ばされて、CH3CH2OH+という+の電荷をもったイオンができます。このイオンは、質量分析計で得られるマススペクトル上では、46という数値で観測されます。

このエタノール分子イオンは、自身の内部エネルギーによって分裂し、CH3+ (15), CH3CH2+ (29), OH+ (17)などの質量の小さなイオンに断片化します(カッコ内は整数質量)。

この開裂は、分子構造の中の弱い結合が優先して切れて、且つ断片化したイオンは有機化学的に安定な構造をもつので、未知の分子であっても、質量分析においてフラグメンテーション解析することで、どのような分子であるかを推測することが出来るということになります。

話を群馬高専時代に戻しましょう。

当時田島研にあった質量分析計は、最近の装置とは全く異なります。
30年も前ですから、当然ですね! 当時の質量分析計と得られるマススペクトルデータは、こんな感じでした。

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これは前職である日本電子の昔の装置で、私が群馬高専で使っていたのは日立製作所の装置でしたが、世代としては似たり寄ったりだと思います。

最近の装置はコンピューター制御が進んでいて、ボタン一つ押すだけで殆ど自動で装置の調整から測定、解析まで、コンピューターがやってくれるものもあります。データはデジタルで、PC画面上でマススペクトルを見ると、質量値(実際にはm/z値)は自動的に割り当てられています。

昔の装置は、もちろんコンピューターなど使われておらず、操作は全て手動、データはアナログです。マススペクトル上に現れたイオンのm/z値は、ピーク1つずつ鉛筆で自分で付けていきます。m/z 100までのマススペクトルで、全ピークにm/z値を付けるのに30分位かかります。今は、m/z 1,000までであろうが10,000までであろうが、瞬時にイオンピークのm/z値を知ることができます。

質量分析計は、内部を高真空に保つ必要があります。

最近の装置は、装置が大気の状態から測定可能な高真空の状態にまでするのに、ボタン一つ押すだけで、自動制御でやってくれます。
真空ポンプの性能も高いので、装置によっては2時間位で使えるようになります。

昔の装置は、全て手動で真空状態をつくります。
5~6台はある真空ポンプの電源を順番に入れ、バルブを順番に空けて、少しずつ真空度を上げていきます。重要なのは、ポンプをオンにするタイミングと、バルブを開けるタイミングです。これを間違うと、ポンプのオイルミストが装置内に流れ込んでしまい、使えなくなります。

そうなると、私達学生で装置を全て分解、内部を有機溶媒で拭き上げます。これで二日はかかります。それから装置を1週間程かけて組み上げて、真空状態を作ります。真空を引き始めてから測定できる真空度になるまで、3日間ほどかかります。

つまり、ちょっと操作を間違えてしまうと、次に使えるようになるまでに2週間はかかる訳です。

最近の装置しか知らない人には、到底想像できないと思います。

昔の装置でできる事ってかなり限られていましたが、その限界の中でできるだけのことをやってきました。

昔の質量分析計から長い間現場で装置を触ってきた経験が、今の仕事に確実に生きていると思います。

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質量分析(LC/MS, GC/MSなどに関係なく)で絶対定量って有り得ないんだけど…

 

最近、質量分析関連の集まり(春の質量分析総合討論会や先日のLC/MSワークショップなど)で、一部のアプリケーションに質量分析を使っている人達が、¨絶対定量¨と言う言葉を使っているのを耳にして凄く違和感があったので、ブログに書いておこうと思います。

 

発表を聞いていて分かったのは、LC/MSにしろGC/MSにしろ、試料中の分析種(分析対象化合物)の絶対量や濃度を測ることを絶対定量、マススペクトルなどで強度を比較してどちらが何倍大きいなどと言うのを相対定量、と言っているようでした。

 

これって、分析化学的には正しくないです。

 

分析化学では、絶対量を測るかどうかに関わらず、量や濃度が既知の標品と試料のシグナル強度を比較する方法は相対定量、比較対象を必要とせず絶対量を測る方法が絶対定量です。

 

LC(UVでも蛍光でも)を用いる定量や比色法などは相対定量です。

電子天秤で重量を計る、メスシリンダーで液体の体積を計る、などが絶対定量になります。

 

質量分析はイオン化を必要とする分析化学です。イオン化の効率は化合物の性質によって異なるので、絶対量や濃度を測る時には、標品とのシグナル強度の比較が必要で、これは相対定量になります。

 

質量分析での絶対定量は、原理的に有り得ないのです。

 

このことは、今年味の素(株)様で5回実施した質量分析講義の定量分析初級編で話したので、そこに参加された方は正しく理解していると思います。

 

質量分析分野の人達が、この事を解っていて、つまり分析化学では相対定量だけど質量分析では絶対定量と言うことにしよう、と言う申し合わせがあったのならまだ良いのですが…

 

たかが用語されど用語

 

用語の定義って必要だし、用語を正しく使うことも重要です。

 

質量分析は分析化学の一種なので、基本的な用語や定義は分析化学に合わせるべきだと思います。

 

限られたメンバーで、全員が理解して議論しているような状況なら多少意味の間違った用語を使っても問題ないと思いますが、例えば質量分析を知らない分析化学者がこの言葉を聞いてあるいは学会要旨などで見て、¨質量分析って絶対定量ができるんだ! 凄いなー!¨ って思われるのは困りますね(>_<)

 

質量分析の専門家として、出来ることを出来ないって思われるは悔しいし、出来ないことを出来るって思われるのは困りますね。
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ワークショップで議論に参加しない人から欲しい情報が得られないと苦情を言われても...LC/MSワークショップでの例

この記事は、参加者が議論に参加することを求められるワークショップに参加して、聴くだけで議論に参加しないのみならず、自分の欲しい情報が得られなかったと苦情を言ってきた、残念な人の話です。チョッと長いです。

 

先週(1027日午後-28日夕方)、静岡県掛川市(ヤマハリゾートつま恋)で行われた第8LC/MSワークショップに参加してきました。12日、LC/MSに関して2日間集中的に議論しようってイベントです。

LC/MSは、質量分析学会が発刊しているマススペクトロメトリー関係用語集にもありますが、液体クロマトグラフィー質量分析(liquid chromatography mass spectrometry)の略語です。

 

ある製薬企業や大学等でLC/MSを使っている、あるいは研究している人達が集まって、業界全体でLC/MS分析の際に問題になっていることを議論する場です。会場の雰囲気はこんな感じ。

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私は初回から参加して、第2回目からは世話人としてプログラム検討などに関わっています。

 

今年の議論の中心は、「LC/MSを用いたタンパク質の定量分析」と、「エレクトロスプレーイオン化の時に問題となるマトリックス効果」の二本柱。タンパク質の定量分析については昨年度初めて話題として取り上げ、最近製薬業界でホットになりつつあるということで、今回は本格的に話題にしました。

 

世話人の人達は、製薬企業の研究員の方が4名ほど、大学教授(教員)が2名、そして私。私はこのイベントで世話人をやっても会社の営業には意味がないので、事実上自己費用で参加しています。他の方達は会社や大学の経費で参加していますが、それでも世話人の集まりが平日に年数回ありますから、その分の人件費やその都度の交通費(遠方から来る人は宿泊費も)は会社なり大学なりが負担している訳です。世話人の集まりでは、その年の話題を検討したり、参加を呼び掛ける企業をどうするか・何かの検証実験が必要かなどを議論したり、必要に応じて自分達で実験をしたり、まぁ楽しい集まりではありますが結構な時間拘束されます。

 

一方で、一般の参加者(多くは製薬企業の研究者)は、当日2日間のみの参加ですから、会社の費用負担は、世話人を輩出している会社に比べると圧倒的に少ない訳です(大企業にすれば何れも大した額ではないのかも知れませんが...)。

 

ワークショップ・セミナー・講習会・講演会など、似たようなイベントで色々な種類があります。それぞれの違いを正確に説明することは出来ませんが、ワークショップは、ただ演者の話を聴くだけでなく、参加者自ら体験したり議論に参加したり、っていうイメージが強いです。そして、このLC/MSワークショップも、事前に参加者に送る開催趣旨には、参加者資格として「積極的に議論に参加できる人」と謳っています。業界全体で起こっている問題について、議論を交わすことで解決策を探ろうって集まりですから、“ただ参加して聴いて情報収集して帰ろう”って人にはむしろ参加して欲しくない訳です。

 

でも、毎年こういう人は必ず数名は居るのです (>_<)

 

今年も残念ながらいました。

特に印象に残った、冒頭に触れた人(Aさん)のことを書いておきます。

 

今回から新たに世話人に加わった方の発案で、「LC/MSを用いたタンパク質の定量分析」に関する事前アンケートを、製薬企業からの参加者に対して実施しました。現場で問題になっていることやその解決策を書いてもらいました。Aさんの回答にも、沢山の問題や困っている事が書かれていました。

 

Aさんは、会の中で自ら発言したり議論に参加したりすることはありませんでした。世話人の一人が議論の中で、Aさんに発言を促したことがあり、その時に一回だけ質問を投げかけていました。

 

そしてワークショップ終了時にも、会に参加してみてのアンケートを実施します。事務局が早速それを集計してくれて、世話人には直ぐに配布されるのですが、Aさんのアンケート用紙には

 

・世話人からの発言や質問が多く、参加者からは少なかった

・欲しい情報が得られなかった

・事前アンケートに沢山質問を書いたのに取り上げられなかった、真面目に書いて損した

 

などと書かれていました。

 

だったらもっと自ら発言しなさいよ!

自分の疑問点が話題になるように議論に参加しなさいよ!

って話です。

 

この記事では、特に印象に残ったAさんに特化して書きましたが、同様な方は何名かいました。また、学会の関係でこのような集まりに参加すると、同様な挙動をされる方は必ずと言っていい程います。

 

知識や経験の少ない初心者の方であれば、このような場で議論することはハードルが高いと思いますが、そのような方はそれに相応しい場(初心者向けセミナーなど)に行けば良い訳で、今回のようなセミナーに参加することは、自分の利益しか考えない迷惑行為であることを認識して頂きたいです。

 

これは、企画する世話人サイドにとっても課題なので、来年度以降の改善案を世話人会に(メールで)提案しました。

 

このLC/MSワークショップ、議論の内容はかなり濃いので、議論や情報提供ができる方(企業)には絶対お勧めできるイベントです。参加者は、基本的に世話人からの呼びかけによって集めており、一般には参加者を募集していないので、来年度の参加をご希望される方は、エムエス・ソリューションズのホームページ/問い合わせからご連絡ください。

 

このような真面目な会ではありますが、初日の午前中には有志でテニスをしたり、また初日夕方の自由時間には施設内の3 kmコースを走ったりと、アクティビティー面でも充実した内容でした。

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尚、今回会場となったヤマハリゾートつま恋さん、今回含めて7回お世話になっていますが、年内で営業を終了そうです。とても良い施設だったので残念です。

 

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求められることを一生懸命楽しくやる❗

 

先週末は、長女が卒業した高校の文化祭がありました。

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私は3年間PTA役員を務め、最後の1年は会長だったこともあり、OBとしてPTAのイベントを手伝ってきました。

 

工業高校で機械科、電子科、理工環境科という三つの学科があり、文化祭ではそれぜれの特徴を活かした体験型イベントが目玉です。

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模擬店も沢山でます。

 

PTAでは、輪投げ・バルーンアート・アクセサリー作り・ご当地カップ麺&ワッフル販売・休憩スペース(飲み物無料)など盛りだくさんの内容。

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夏の研修で作成した品の展示や、生徒の普段の様子をスクリーンで上映したり。

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輪投げはずっと以前からやっている伝統ある内容。バルーンアートは昨年私の発案で初めて実施、小さい子ども達が喜んでくれたので、今年もやることになったようで、お手伝いの依頼がきました(私が一番慣れているので)。

 

他のお手伝いのお母さん達に教えながら、2日間とも朝から夕方まで対応。何人かのお母さんはかなり楽しかったらしく、練習しながら沢山作ってました。簡単なものは直ぐに出来るようになるので(^-^)

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どうせ手伝うなら楽しくやれた方が良いですからね🎵  お手伝いのお母さん達も楽しめて良かったー。

 

複雑なものや2本以上使う大きなものは、リクエストに応じて私が対応。

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初日は外にタープを張って、2日目は寒かったので室内で❗

 

中には、長い時間座ってオリジナルのバルーンを作る子も。完成形をイメージしながらバルーンをひねったり組み合わせたり。考える力を養うのに、バルーンアートは良いと思います(^-^)

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2日間とも、店じまい後は昨年まで一緒に頑張っていたOB仲間や現役役員さん達と飲みに行けたし、2日間フルに対応して流石に疲れましたが、楽しい文化祭でした。

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長女も2日とも遊びに来ていて、同級生に会えて楽しかったみたいです。

 

前会長ってことで、今年度も役員リストに名を連ねてはいますが、運営に関しては口出しせず、相談されたり何かしら頼まれたら対応するようにしています。

 

この種の活動って、引退してからもウダウダと現役のやり方に注文つける輩がいますが、そう言うのってナンセンスだと思います。

 

求められることを一生懸命楽しくやる❗
仕事もこの種のボランティア活動も、基本的には同じスタンスで取り組んでいます。

 

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LC/MS試料調製におけるコンタミ(汚染)防止の重要性

今週は、月一の早稲田大学でのLC/MS技術指導に行きました。Q-TOFタイプのLC-MS/MSで試料測定。

MS班の4年生が、MS班ではないM1の学生から試料を預かってきました。

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最初に、試料内容と分析目的をIくんに聞きます。

 

Iくん:先輩の試料を預かっただけなので知りません。

私:(>_<)   それじゃ分析にならないし、君たちの勉強にならないでしょ! 直ぐ確認!!

 

ってことで、試料は合成に使う物質の標品二種類の溶液で、以前測定した時に、沢山の夾雑成分が観測されたので、再測定をしたいとのこと。

 

早速測定させてデータを確認すると…

 

購入した標品なのに、確かに夾雑成分由来と思われる沢山のピークが…

演算はしていませんが、パッと見でピーク純度は20%にも満たない程度か!

 

こりゃあ、試料調製の時にコンタミ(汚染)したなぁと思いつつ…

一寸遅れて来ていたM2の学生が一度研究室に戻ってまた来ると言うので、同じ試料を再調整してきて貰いました。

 

すると…

 

見事に単一ピーク。綺麗なもんです。

M1学生の試料調製の失敗は明白(>_<)

研究室全体への注意勧告を、M2学生に依頼しました。

 

今回は標品の測定だったので、試料調製時のコンタミを直ぐに疑うことができましたが、生体や天然物由来の試料であれば、そもそも沢山の成分が観測されるので、今回のような失敗があっても、試料由来とコンタミ成分を見極めるのは困難です。

 

この種の問題は、LC/MSを使っていれば何処でも起こり得ます。

 

先ずは試料調製におけるコンタミ防止の重要性をしっかり認識して下さい。そのためには、正確な手順と方法でブランク試料を調製することが重要です。

 

 

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汎用HPLCをそのままLC-MSにする技術:オンライン脱塩システム

汎用のHPLCHigh Performance Liquid Chromatography, 高速液体クロマトグラフィー:最近では単にLCと略す場合が多い)は、通常内径4.6 mmのカラムを用い、移動相流量1 mL/minという条件で行われます。移動相溶媒は、水とメタノールやアセトニトリルの混合液に対して様々な塩類などを添加したものが一般的です。塩類としては、「リン酸塩緩衝液は何故LCの移動相として多用されるのか?」で解説したように、リン酸塩などの不揮発性塩が多用されます。

 

しかし、LCの後ろに質量分析計を接続したLC-MSでは、通常リン酸塩などの不揮発性塩を含む緩衝液は使えないので、不揮発性塩の代用として酢酸やギ酸あるいはそれらのアンモニウム塩などを添加した揮発性の移動相が用いられます。

 

日本で稼働しているLCLC-MSの正確な台数や比率は分かりませんが、LC-MSは数千台オーダー、LCは大凡その10倍程度だと思います。LCに比べてLC-MSが圧倒的に少ない理由として挙げられるのは、

① 価格が高い

② LCで使われる移動相条件がそのままLC-MSで使えない

の二つが主だと思います。

 

①の価格については、Waters社のQDaなど比較的安価な装置が発売されていますが、②の問題については通常のLC-MSでは解決されていません。

 

LCは通常、既知成分の定量分析に用いられることが多いですが、その際に未知成分が観測されてしまうこともあります。そのような場合、LCだけではその成分の定性分析や同定を行うことは困難です。LCで一般的に用いられるUV検出器では、定性的な情報は得られないためです。そのような場合にLC-MSが有用な訳ですが、LC-MSでは不揮発性緩衝液は使えないので、前述のLCが不揮発性緩衝液で行われていた場合、LC-MSを行うためには揮発性の移動相条件に変更しなければなりません。

 

ここで問題になるのが、以下の図のように移動相変更に伴う溶出挙動の変化です。移動相条件の変更によって、定性的な情報を得たいピークがどれだか分からなくなってしまう可能性があるということです。

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我々が開発しているオンライン脱塩システムは、汎用的なLC条件(内径4.6 mmカラム、不揮発性緩衝液、移動相流量1mL/min)をそのままLC/MSに移行できる最も簡易的な技術です。

 

 

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質量分析屋のブログでは小平市を拠点とする日々の活動やお役立ち情報をご紹介しております

東京都小平市にあるエムエス・ソリューションズ株式会社のブログでは、企業様や研究機関における技術指導やセミナーなど日々の活動のご紹介をはじめ、大学での講義の模様などもご案内しております。
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