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磁場型GC-MSでの定量分析

私の専門はLC/MSですが、

 

都内にある研究機関の依頼で、磁場型の高分解能GC-MSを用いた定量分析のサポートを、年内の期間限定でやらせて頂くことになりました。

 

磁場型の高分解能GC-MSと言えば

 

そう

 

前職である日本電子の製品です❗

 

 

いやぁ~、久しぶりに使いましたが、やっぱり磁場型の装置はピーク形状が綺麗ですね~o(^o^)o

 

イオン化はEIです。通常、EIはイオン化エネルギー70 eVで使用しますが、今回の分析では、フラグメンテーションを抑えるために低めに設定します。

 

高分解能SIM(SIMはselected ion monitoringの略)と言う方法で測定し、専用のソフトで定量解析します。

分解能は10%谷定義で10000なので、その他の装置の半値幅定義での20000に相当します。

 

高い質量分解能で測定することで、分析種イオンと近いm/z値の夾雑イオンを分離するのが狙いです。しかし、いくら高分解能条件で測定しても、分析種イオンと夾雑イオンを完全には分離できない場合が殆どです。

 

また、低めのイオン化エネルギーを用いてもフラグメントイオンが生成してしまい、そのm/z値が低分子量の分析種イオンのm/z値に完全に一致してしまうこともあります。

 

自動でのピーク検出は殆どの場合でうまくいかないため、全ての試料、全ての成分ピークを目視で確認しながら、手動でピーク検出を行います。

 

 

得意な仕事とは言い難いですが、質量分析のプロとしては、頼まれた仕事はきっちりやりますよ(^-^)

 

 

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エムエス・ソリューションズ株式会社
http://www.ms-solutions.jp/
住所:〒187-0035 東京都小平市小川西町2-18-13
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電子イオン化(EI)はある意味汎用的なイオン化

前回の投稿で、

 

¨電子イオン化(EI)はある意味汎用的なイオン化である¨

 

と書きました。

 

ある意味とはどういうことか?

 

 

EIでは、通常70 eVのエネルギーを気化させた試料分子に照射してイオンをつくります。

 

有機化合物の多くは、10 eV前後のイオン化ポテンシャル(イオン化させるのに必要なエネルギー)をもっています。

 

イオン化ポテンシャルより大過剰なエネルギーの電子線を照射することになります。

 

電子線を照射された分子は内部エネルギーが上がって励起状態となり、(マイナスの電荷をもつ)電子を1つ失って、プラスのイオンになります。

 

1度の測定でイオン源に導入される試料分子の数は、10の8乗~12乗個ほどです。70 eVという一律エネルギーの電子線を照射しても、分子によって受け取るエネルギーの大きさは異なります。ある分子は、イオン化するのに丁度よいエネルギーを受け取って励起状態になり、電子を1つ失って安定した正イオンになります。これは分子の構造を保っており、分子イオンと呼ばれます。分子イオンのm/z値に電子の質量を足した値が、元の分子の質量になります。

 

一方、イオン化ポテンシャルに対して大過剰のエネルギーを受け取って励起状態になった分子は、電子を1つ失っただけでは内部エネルギーが小さい安定な状態にならず、余剰のエネルギーが分子イオン内の様々な結合を振動させることに使われ、結合エネルギーの弱い結合が開裂して断片化したイオンが生成します。この断片化イオンをフラグメントイオンと呼びます。

 

どの程度の割合の分子が分子イオンになるのかフラグメントイオンになるのか?

それは化合物の性質に大きく依存します。

分子内に非常に弱い結合をもつ化合物では、分子イオンが全く観測されず、フラグメントイオンのみが観測される場合もあります。

 

また、気化させるための加熱のプロセスにおいて、熱分解を起こして断片化してしまう化合物もあります。高分子化合物などは、その典型的な例です。

 

例えば、高分子化合物を直接導入プローブによって加熱してEIでマススペクトルを測定しようとすると、元の高分子化合物がそのまま気化することはなく、熱分解して断片化した化学種が気体状態になってEIでイオン化されます。イオン化の際にも、熱分解によって断片化した構造を保ったままプラスイオンになるとは限らず、イオン化の段階でさらに断片化したイオンになることもあります。

 

 

このように、分子内に弱い結合をもつ化合物や、加熱によってそのままの構造を保ったまま気化しない化合物については、元々の分子の質量情報を得ることはできません。

 

 

質量分析本来の目的(化合物の質量情報を得る)は叶いませんが、試料を加熱して何等かの気体が発生すれば、EIでは何等かのイオンは観測される。観たいイオンが見られるとは限りませんが、どんな試料でも無理やり加熱してEIでイオン化すれば、何らかのイオンは必ず観測されます。それが意味あるイオンかどうかは別として。

 

 

このように、

 

”どんな試料でも測定すれば何等かのイオンは観測される”

 

この意味において、

 

¨電子イオン化(EI)はある意味汎用的なイオン化である¨

 

と言える訳です。

 

 

次回は、EIとは対照的なイオン化について解説します。

 

 

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横市大での質量分析の講義からのBMSコンファレンス

昨日、前期の間毎週月曜日午後に担当している横浜市立大学での講義を終えたあと、

 

BMSコンファレンスに参加するため熱海にきました。

DSC_1295

 

BMSは、

 

biological mass spectrometry の略で、質量分析を使って生体関連の研究をしている、企業・大学・研究機関の人達が参加します。

 

質量分析計などの装置を製造・販売している企業が、夜に飲み物などを提供して遅くまでディスカッションする、合宿形式のユニークなイベントです。

 

前職である日本電子に勤めていたときから、新たな出会いと有用なディスカッションが得られるBMSは、質量分析関連で好きなイベントの1つです。

 

質量分析を始めて間もない方には、多くの知見が得られるのでお奨めです。

 

 

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所沢8時間耐久マラソン完走記

ブログを書きかけで忘れていました(^^;

 

7月3日、所沢市の航空公園で行われた、8時間耐久マラソンにラン友さん数名と参加してきました。

DSC_1287

 

 

主催はスポーツエイドジャパン!

 

土日の2日間で3種目耐久(土曜日は5kmとフルマラソン、日曜日が8時間耐久)というのが本来の姿なのですが、

土曜日は先約があったので、日曜日の8耐のみに参加してきました。昨年は3種目に参加しました。

 

真夏の炎天下にこんなことやるなんて、ヘンタイが集まる大会です(^^;

 

近隣の小中学生が、毎年ドリンクステーションでボランティアをしてくれます。

 

航空公園内を周回する一周約3.2 kmのコース。

8時間で何週できるかを競います。実測のコースはこんな感じ↓

20160703_所沢8耐

スタートは9時、この時点で既に思いっきり暑い(>_<)

 

キロ6分半前後のイーブンで、できるだけ歩かないように意識して走りました。

 

前半6周くらいまでは、イメージ通りのペースで走れたのですが、

10週をすぎるこらから、だんだんと暑さがと疲労が厳しくなってきて…

 

周回毎にエイドステーションに戻ってくるのですが、毎回水をかけてもらって身体

を冷やさないと、とてもじゃないけど動き続けることはできない気温でした。

 

コースにいる間はできるだけ歩かないように心掛け、でもたまには歩いてしまって…

 

結局18周で約58 km走って、終了時間の10分前にゴールしました\(^o^)/

頑張りました~!!

DSC_1290[1]

 

こういうキツいランの時って、結構仕事の事を考えたりするんですよね!

 

”走っている時に何を考えるのか?”

ってよく聞かれます!

 

 

走っている時に何を考えるのかは、正直分からないこともあります。

でも、結構仕事の事は考えます。

そして、走ることは確実に仕事の役に立っていると思います。

 

何かの機会に、そのことについて書いてみたいと思います。

 

 

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HPLC, SFC分取のスペシャリスト

HPLCとSFCを使う分取のスペシャリストが、ある企業で派遣で働いています。

派遣の仕事をしながらですが、フリーランスの液クロ分取屋としても仕事を請け負います。1日単位で液クロやSFCの分取要因が必要な大学や研究機関の方、

エムエス・ソリューションズが間に入って仕事を受けますので、ホームページの問い合わせからご連絡下さい。

近いうちに、ホームページのスタッフ紹介に情報を載せますので、お楽しみに❗

 

 

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質量分析の基礎:試料導入法とイオン化法、電子イオン化

前回、試料導入法とイオン化法について、さわりだけ書きました。

 

今回から、具体的に解説します。

先ずは電子イオン化について。

 

電子イオン化は、英語ではelectron ionizationと言い、通常EIと略して書きます。MS装置の中でイオンを作る部品をイオン源と言います。EIイオン源はこんな感じ

EIイオン源

 

 

昔は電子衝撃イオン化(electron impact ionization)と言っていました。衝撃と言うと、電子が分析種分子に衝突するイメージですが、電子の大きさを考えると、分子に¨物理的に衝突する¨ことは考えにくく、¨光の照射¨に近いと考えられることから、改名された経緯があります。

 

EIは、現在市販装置に使われている様々なイオン化法の中で最も古くから使われていて、ある意味汎用性の高い方法です。

 

EIについては、以前アメブロでも書いていますが、真空中でのイオン化であり、分析種分子は加熱によって気化させる必要があります。

 

加熱・気化のプロセスは、試料導入法に関係します。EIが装着できるMS装置は、通常次の3種類の試料導入法が使えます。

 

1. 直接導入プローブ

先端部に昇温可能なヒーターを内蔵させたプローブを使います。プローブ先端に細いガラスのチューブを付け、その中に固体試料や高沸点の液体試料をいれ、チューブの部分をイオン源に入れて、プローブのヒーターを昇温(例えば1分間で300℃まで)させて試料分子を気化させ、EIでイオン化します。通常は単離精製された試料に用いますが、混合物試料に使うこともあります。

 

2. リザーバー

主に沸点の低い液体試料の導入に使用するタンクのような物です。低沸点の化合物は、1の直接導入プローブでは、真空中に導入した瞬間に気化してしまって測定できないので、リザーバーに溜めて、少しずつイオン源に導入します。質量校正に使う標準試料(パーフルオロケロセンが一般的)は、通常リザーバーから導入します。

 

3. ガスクロマトグラフから導入

通常、複数の揮発性化合物の混合物から成る試料に対して、混合物を分離しながらMS装置に導入するために用います。

 

1の直接導入プローブは低温から昇温させて分析種を気化させます。その際、熱に不安定な化合物は熱分解を起こしてしまうことがあります。そんな時は、Desorption EI(DEI)という特殊なプローブを用いると、熱分解を回避することができる可能性があります。DEIは、直接導入プローブと同様な形状をしていますが、先端に白金線が取り付けられており、その白金線に瞬間的に高電流を流すことができる構造です。白金線に試料溶液を塗布してイオン源に挿入し、瞬間的に電流を流して瞬時に加熱することで、熱に不安定な化合物が熱分解を起こす前に気化される場合があります。

 

伝統的なイオン化とも言えるEIですが、生成するイオンの安定性と完成度は、現在使用されているイオン化法の中でも最も高い、有用なイオン化法です。

 

 

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