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質量分析の基礎:イオン化法と生成するイオン種

注)ブログ機能の関係で、化学式やイオン式の下付や下付は正しく表示されません。ご了承下さい。

 

前回までに、電子イオン化(EI)とエレクトロスプレーイオン化(ESI)という対極する2種類のイオン化法について、試料導入法と共に解説しました。

 

ここで言う¨対極¨とは、

EIはイオン化エネルギーが高いハードなイオン化

ESIはイオン化エネルギーが低いソフトなイオン化

と言う意味です。

 

質量分析で得られるマススぺクトルを解釈する上で、

”どのイオン化法をどんな条件で使うとどんなイオンが生成するのか”

は最も重要な基礎知識になります。

 

今回は、前述のEIとESIについて、生成するイオン種に関して解説します。

 

・EI

EIのイオン化については、以下の二つの記事で解説しています。

”質量分析の基礎:試料導入法とイオン化法、電子イオン化”

”電子イオン化はある意味汎用的なイオン化である”

 

加熱気化によるプロセスと、70 eVという通常の有機分子のイオン化ポテンシャルより大過剰なエネルギーの電子線をイオン化に用いることで、多くの有機化合物において分子の構造を保った状態で電子が一つだけ脱離したイオン(分子イオン、M+・(+・は上付き))は観測されず、フラグメントイオンが観測されます。同じ条件においても、分子イオンが観測されるか否かは、化合物の物理化学的性質に大きく依存します。

 

既知の化合物であれば、例え分子イオンは生成しなくても、マススペクトルに観測されたイオンのm/z値から、その構造を予測できます。

例えば、整数質量が500で構造中にメチル基(CH3)があって、マススペクトルにm/z 485のイオンが観測されれば、それはメチル基が脱離したフラグメントイオンである可能性が高いです。

 

一方、未知化合物を測定する場合、分子イオンが観測されないことは、致命的とも言える大問題です。未知化合物を質量分析する場合、その目的は定性分析が殆どです。化合物を定性分析する上で、その分子自体の質量情報が得られないのでは、質量分析する意味が半減してしまいます。

 

・ESI

エレクトロスプレーを日本語に訳すと¨静電噴霧¨となります。ESIでイオンが生成するイメージは下の図のようになります。細い管(専門用語ではキャピラリー)を流れる液体(試料が水やアルコールなどの溶媒に溶けている状態)に高電界を作用させる(キャピラリーと対向電極との間に高電圧を印加する)と、試料分子が溶媒からプロトン(H+、+は上付き)を受けとるか、逆に試料分子が溶媒にプロトンを渡すかしてイオンになり、高電界の作用によって液体の塊から液滴が引きちぎられて、対向電極に向かって飛んでいきます。

ESI_液滴生成

この液滴が対向電極に到着する前に気相単分子イオンになって、質量分析計(MS装置)に導入されます。

液滴から気相単分子イオンが生成する課程が、ESIにおけるイオン生成のキーポイントになります。

 

ESIで生成するイオン種は、正イオン検出条件で[M+H]+, [M+Na]+, [M+NH4]+など、負イオン検出条件では[M-H]-や[M+Cl]-などです。

前述したように、ESIはソフトなイオン化なので、通常フラグメントイオンは生成せず、上記のような分子構造を保った状態の様々な付加イオンが生成します。

 

イオン化のし易さや生成するイオン種は、試料分子の物理化学的性質や溶媒条件に大きく依存します。特に、イオン化のし易さは顕著であり、夾雑成分の影響も大きく受けることが知られています。イオン化する化合物については、殆どの場合で分子構造を保ったイオンを生成するということは、ESIの大きなメリットになります。

 

ESIは、LC/MSに用いられているイオン化法ですが、質量分析全般で見ても非常に汎用性の高いイオン化法であると言えます。今後、ESIについて深く解説していこうと思います。

 

 

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LC/MSに関するインハウスセミナー:定性解析編

昨日、味の素株式会社の研究所にお邪魔して、LC/MSに関するインハウスセミナーの講師を務めさせて頂きました。

 

全5回のシリーズでご依頼を受け、今回は4回目。定性解析の中・上級者向けの内容でのご依頼でした。

 

 

3回目までは、概要と初級者向けの内容で、70名近い社員の方が聴講に来られていました。昨日は内容が難しいので流石に少なく、それでも40名以上の方が参加されていたようです。毎回、大勢の方にご参加頂き、話す方も気合いが入ります。

 

 

今回は、MS/MSや高分解能マススペクトルを用いた、チョッと突っ込んだ解析手法に関する内容や、偶数電子イオンからのフラグメンテーションの内容を中心にお話ししました。フラグメンテーションについては、少し難しい内容だったかも知れませんが、やはり質量分析を用いた定性解析ではフラグメンテーションの理解は重要なので。

 

 

次回は、定量分析の中・上級者向けの内容が中心になります。

 

 

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富士見小サッカー部の合宿2

先週末(金~日曜日)、少年サッカーチームの合宿に行って来ました。

 

長男がこのチームにいた時から数えて、多分4回目くらいの参加だと思います。長男がいた時は群馬県の片品村で3泊4日で行っていましたが、遠いのと2日休めるコーチがなかなかいないので、3年くらい前から茨城県古河市に変え、日程も2泊3日に短くしました。

 

今回は、金曜日に仕事を休んでフル参加!

いやぁ~、疲れましたf(^_^)

 

子ども達と一緒にボールを蹴ったり、走ったり、ゲームをしたり

 

普段のランニングでは使わない筋肉を使うらしく、2日経ってもバキバキの筋肉痛です。

 

でも、普段の練習や試合に比べると、遥かに長い時間、子ども達たコーチ陣、母達と一緒にいるので、色々な話ができたし、とにかく楽しかったですo(^o^)o

 

私がマラソンをやるのを子ども達は知っているので、マラソンのことをキラキラした目で興味ぶかそうに聞いてくる子もいて、

 

も~、可愛いったらないです(#^.^#)

 

3年生になると足下もかなり上手になるし、素直なのでコーチ陣の指導を良く聞いて懸命に練習するし❗

 

そんなひたむきな姿は、見ていて感動します。

 

一生懸命頑張ってる姿って、誰でも何をしていても、人を感動させるものですね❗

 

 

今回もう1つ良かったのは、この春卒業したOBの子達の成長した姿を見れたことo(^o^)o

3人だけでしたが、背は伸びたし、声は男っぽくなったし、サッカーの技術も上がってたし

 

まだ小学校卒業して3ヶ月ちょっとなのに、この頃の子どもも、一気に成長する感じですね🎵

DSC_1364

 

3月まで見ていた子ども達がこの春卒業して、4月から3年生チームを手伝っていますが、今回の合宿でやっと子ども達の顔と名前を覚えられました。

(走ってばかりで、余りサッカーのイベントに出てなかったからなぁ…)

 

今回覚えた子ども達の名前を忘れないように、8月からはもう少しサッカーに時間を割くようにしよう🎵

 

 

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富士見小サッカー部の合宿-1

昨日から、東村山市にある富士見小サッカー部の合宿で、茨城県古河市に来ています。

 

今年の夏休みは特に決めていないので、とりあえず昨日単発で一日休み。

今年の合宿は、2泊3日のフル参加です(^o^)

 

高校1年の長男が小学3年生から5年生まで在籍していたサッカーチーム、長男がやめてからもコーチとして在籍しています。

私以外にも、自身の子供がこのサッカーチームのOB・OGというお父さんが、沢山OBコーチとして残っています。

 

今は3年生チームを手伝っていますが、今回の合宿は全員参加しているわけではなく、特に4年生の参加者が少ないので、3・4年生が合同で練習しています。

練習に使っているグランドはこんな感じ!

DSC_1343 DSC_1346

 

広い芝のグランドで、とても良い環境です。

 

子ども達も、転んだりスライディングしたりしても痛くないということで、大喜びです。

3・4年生くらいだと、まだまだ可愛いですね o(^_^)o

 

色々な大人が子ども達に関わる。

地域で子どもを育てる。

 

とても大切なことだと思います。

 

私も、もう一度子育てしている感じで癒されます。

 

残り、今日の午後と明日の昼まで!

 

子ども達には目一杯サッカーを楽しんで欲しいですね♪

 

 

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質量分析の基礎:試料導入法とイオン化法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)

試料導入法とイオン化法について、

 

前回の電子イオン化に次いで、今回はエレクトロスプレーイオン化について書いてみます。

 

以前から、アメブロで様々なイオン化法について解説していますが、エレクトロスプレーについて解説する前に、質量分析に関する記事は会社ホームページのブログに移行したので、エレクトロスプレーについてはまだ書いていませんでした。

 

ここで、エレクトロスプレーのイオン化についても解説しておきたいと思います。

 

 

エレクトロスプレーイオン化は、英語ではelectrospray ionizationとしい、通常ESIと略します。

 

ESIは、”電気伝導性の液体に高電界を作用させると高度に帯電した液滴が生成する”現象であり、タンパク質などの生体高分子化合物の質量分析のためにESIを開発したとして、Fenn博士が2002年にノーベル化学賞を受賞したことは、我々質量分析関係者にとっては記憶に新しいところです。

 

ESIにおけるイオン生成のイメージは以下のようになります。

ESI_液滴生成

 

電解質を溶解した水に陽極と陰極を挿入して電圧を印加すると、電気分解が起こり陽イオンは陰極に、陰イオンは陽極に引き寄せられますが、ESIにおけるイオン生成はこれに似ています。

上の図では、キャピラリーが陽極、対向電極が陰極に相当します。分析種などの試料成分が移動相溶媒(メタノールなど)からプロトンを受け取って+イオン(正イオン)になると、陰極である対向電極に向かおうとしますが、キャピラリーと対向電極の間には大気圧の壁があります。高度に帯電した微細な液滴になることで、試料成分のイオンは大気圧中を対向電極に向かって飛行することができるようになります。

 

ESIは、大気圧下で液体の流れから連続的にイオンを生成させる方法であり、試料は液体が基本となります。主に、単離精製された試料を溶液状態にして低流量でESI-MSに導入するインフュージョン法と、液体クロマトグラフを介して試料を導入する方法の2種類の試料導入法が用いられます。

 

ESIは非常に夾雑成分の影響を受けやすく、単離精製した分析種を溶液としてインフュージョン法でマススペクトルを測定する際、僅かに塩のような夾雑成分が混入すると、分析種がイオン化され難くなるという問題が起こります。

 

液体クロマトグラフを介しての試料導入では、試料成分はLCカラムで分離された後ESI-MSに導入されるので、試料中に夾雑成分が含まれていても、それらがLCカラム内で分析種と分離されれば影響は受けません。現在ESIは、LC/MSに最も用いられているイオン化法です。

 

 

最近では、液体試料の他に、組織切片などの固体表面から直接イオンを観測する方法にESIが用いられるようになりました。desorption electrospray (DESI)という方法です。DESIについては、追って解説します。

 

 

ESIの開発によって、LC/MSが現在のように汎用的になったことは間違いありませんが、生成するイオン種の解釈など、一筋縄ではいかないのも、このESIの特徴です。

 

 

 

 

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質量分析のことを¨マス¨って言っても良い?

¨質量分析¨は

英語では¨mass spectrometry¨

と言い、

¨MS¨

と略して書きます。

 

MSをそのまま読むと¨エムエス¨ですが、

マススペクトロメトリーの最初が¨マス¨であり、

呼びやすさもあって、

 

長いこと、質量分析のことを

¨マス¨

と呼んでいました。

 

しかし、

¨マス¨は¨mass¨

すなわち¨質量¨の意味であり、

 

質量分析のことを¨マス¨と言うのは無理がある(正しくない)と言うことで、

 

核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance, NMR)のことを

¨エヌエムアール¨

とそのまま読むように、

 

質量分析も¨エムエス¨と読みましょう。

と言うことになりました。

 

でも、エムエスって発音し難いんですよね(>_<)

 

とくに、GCやLCが前について

GC/MS(GC-MS)とかLC/MS(LC-MS)になると、

ジーシーエムエス、エルシーエムエス

などと言う発音になり、

会話の中ではかなり言い難くなります。

 

質量分析学会の関連行事でも、多くの人が¨マス¨って言っています。私も特に問題ないと思います。

 

一部学会関係のお偉い先生(液クロ懇のN先生とか)は、妙に拘っていて、液クロ懇の発表でMSをマスって言うとダメ出しされるので、

 

ケースバイケースで使い分けるのが良いのだと思います。なかなか難しいですけどね。

 

 

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